みさのへや

 以前に話していた編み物教室を行うため、ワタシとナナ、柚鈴先輩の三人は美沙先輩の自宅へお邪魔していました。

「わぁ、美沙先輩のお部屋とっても可愛らしいです」

「そんなことないよ。普通だと思うよ」

 美沙先輩は普通と言いましたが、国民的に有名なキャラクターのぬいぐるみや桃色や水色のぬいぐるみが飾られたこの部屋はワタシの勉強机と部屋の大半を占める本棚以外の家具が無い部屋と比べると普通ではありませんでした。

 ワタシの部屋が普通ではないだけかもしれませんが。

「ミササの部屋ってすごくいいにおいがする!」

「言われてみれば、良い香りですね。心が穏やかになるような」

 会長の自宅は生徒会室と変わらない香りがして生徒会室と同じくらい落ち着く空間のように感じられましたが、美沙先輩の部屋は会長の自宅とはまた違った安心感のある香りがしました。

「二人とも、恥ずかしいからあまり嗅がないでよ」

「だっていいにおいだから!」

 美沙先輩の部屋の香りが気に入ったらしい柚鈴先輩は突然深呼吸をして美沙先輩の部屋の香りを身体全体で堪能していました。

「もうっ、ユズリンったら」

 美沙先輩は呆れたようにそう言いましたが、その表情はまんざらでもないように見えました。

「美沙先輩、タンスの上に飾られているぬいぐるみって手作りですか?」

「ナナちゃんよく分かったね。そうだよ。あれは美沙の手作り。初めてであのレベルのぬいぐるみを作るのは難しいから、今日はマフラーから作っていこうと思うけど良いかな?」

「は、はい! でも、お店で売っていてもおかしくないほどの出来栄えのぬいぐるみを作れるなんて美沙先輩はすごいです!」

「いつかナナちゃんにもぬいぐるみの作り方教えてあげるね」

 ナナに褒められたことで気分を良くした美沙先輩は生徒会の活動中でも見たことがないほどの笑みを浮かべながらナナの頭を撫でました。




美沙が画像を送信しました。

美沙 みんなで編み物教室したよ。

海  マフラーか。

海  編み物は詳しくないが、見る限りだと全員上手く作れたみたいだな。

美沙 みんなセンスが良かったよ。

美沙 特に ナナちゃん 

海  先生の教え方が上手いからだろうな。

美沙 !

美沙 ありがとう。

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