あおじる

「青汁って美味いのかね?」

 月末が近づき、生徒会へ次々と提出された書類に一つ一つ目を通していた会長がポツリと呟きました。

「青汁はまずいイメージがありますね。コマーシャルでもあるじゃないですか『まずい、もう一杯!』って」

「……?」

「……?」

「……?!」

「……?」

「小雨先生、どうしてまずいのにもう一杯なんですか?」

 折角小雨先生が物真似のような口調でコマーシャルを再現してくれていたようでしたが、生徒会役員は誰一人としてピンと来ていませんでした。

「青汁のコマーシャルといえばこれじゃないの?」

「聞いたことないですね」

「美沙も聞いたことないよ」

「ごめんね、小雨ちゃん先生! ワタシも聞いたことない!」

「ナナはたまに青汁のコマーシャルを見るけど、そんなフレーズは聞いたことないよ」

「ワタシも聞き覚えはありませんね」

 生徒会役員の反応に小雨先生は明らかに気分を落としてしまっていました。

「これが、世代間ギャップか~」

 そう叫ぶと小雨先生は涙目になりながら生徒会室を飛び出して行ってしまいました。



生徒会議事録

 結局、青汁は美味いのか? 不味いのか? 芹沢

 語感的には美味しそうな響きではないよね! 柚鈴

 確か、おばあさまが青汁を定期購入していたはずですので少し譲ってもらってきましょうか? 笑舞

 こればっかりは実際に試してみないとわからないからね。 美沙

 笑舞、お願いね。 七海

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