ぶかつどうしんせつとどけ
いつもの六人で生徒会活動という名の放課後ティータイムを行っていると生徒会室の扉が数回ノックされました。
「どうぞ」
会長のその返答を合図にワタシたちは背筋をしっかり正して来客を迎えました。
「部活動新設届けを出しに来ました」
そう言って生徒会室に入って来たのは昨日をもって料理部を退部したばかりの関川紗綾先輩でした。
「部活動新設届けって、昨日の今日で?」
「だって、青春といえば部活でしょ? 部活をしていないのは勿体ないと思って」
「それなら、既存の部活に再入部すれば良いのでは?」
「違うの。今の流行は自分で作る部活なの!」
関川先輩はワタシに熱くそう言ってきましたが、ワタシはよく分かりませんでした。
「俺の勝手な想像だけど、関川さん平成二十年代のライトノベル好きそうだよね」
「あ、分かる?」
「二人が何を話しているのかよくわからないけれど、部活動の新設には生徒会全員の承認が必要だから、部活動新設届を見せて」
「はい」
関川先輩から部活度新設届を受け取った美沙先輩は眉間にしわを寄せて、首をかしげました。
「紗綾ちゃん、この『バラエティ部』って何?」
「既存の部活に報道部ってあるでしょ? そのバラエティ版だと思ってくれて良いよ」
「思ってくれて良いよと言われてもな……」
ワタシたちが首をかしげる中、一人だけ目を輝かせている人が居ました。
「良いですねバラエティ部! ワタシ、バラエティ番組大好きなので賛成です! 部費はどれくらい必要になりますかね!」
「柚鈴先輩! まだ海先輩たちが賛成していないので」
「海君たちももちろん賛成だよね!」
その問いかけに即答は出来ず、ワタシたちは顔を見合わせました。
「紗綾ちゃん、あとユズリン。残念だけどこれは承認できないよ」
「何で?」
「どうして!」
「だって、部員一人しか居ないし。それでも良いなら同好会になるけど、部費は出ないよ」
関川先輩は部活動新設にとって最低条件である部員五名の確保を忘れていたらしく、致命的なミスに文字通り開いた口が塞がらない様でした。
「という事で、部員を五名集めてきたらまた生徒会で審査するから」
「海くん、よく考えたら面白いことも出来ないのにバラエティ部なんて無謀だからまた一から考えてくる」
「お、おう。そうか」
言葉にはしていませんでしたが、会長は『また来るのか』とでも言いたそうな表情をしていました。
生徒会議事録
もしバラエティ部が出来ていたらどうなっていただろうな? 芹沢
紗綾ちゃんがやるなら、料理番組とか? 美沙
美沙先輩、それは放送事故では? 笑舞
報道部で試しにやってくれないかな! 柚鈴
何だろう? ナナの背筋がぞわっとした。 七海
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