とうにゅうのひ
「なるほどなぁ」
ノートパソコンを開いて調べ物をしていた会長がポツリと呟くその光景はとても見覚えがありました。正確には一週間前の生徒会で見た光景でした。
「調べ物のふりして、何か面白い記事でも見つけたの?」
「調べ物をしていたら偶然見かけただけだからな」
美紗先輩にそう言い返した会長は目だけを動かして偶然購買で普段より安く販売されていた豆乳片手に作業を行っていたワタシたちを見ました。何となくその視点は普段よりわずかに下を見ているように感じられました。
「海君、目つきがいやらしい気がする!」
「えぇ~!? 柚鈴先輩、海先輩がそんな目つきでナナたちを見る訳が無いじゃないですかぁ~ ねっ会長!」
「七海が何で少し嬉しそうにしているのか分からないが俺がそ、そんな目つきで生徒会のメンバーを見る訳無いだろう」
反論する会長でしたが、美沙先輩と柚鈴先輩はまだ会長を疑いの眼差しで見つめていました。
「海は一体何を見ていたのかな? お姉さんに見せてごらん」
「な、何でもないって」
抵抗する会長でしたが、お姉ちゃんモードに入ってしまった美沙先輩を止めることは出来ませんでした。
「なになに? 『今日は何の日? 10月12日は豆乳の日』」
「それだけ?!」
「はい、それだけみたいです」
お姉ちゃんモードの美沙先輩によって会長の動きが封じられている隙にナナは会長の使っているノートパソコンをのぞき込んで柚鈴先輩にそう言いました。
「スケベ」
美沙先輩はたった一言そう告げて会長の頭を軽く殴りました。ナナと勘が鋭かった柚鈴先輩は何故会長がスケベと言われて殴られたのかわからなかったようで首をかしげていました。
生徒会議事録
さっき購買に行ってきたら今日は豆乳が大人気で完売したらしい。 芹沢
どうしてだろうね。 美沙
不思議な事もあるものです。 笑舞
半額だったからですかね。 七海
美味しいからね! 柚鈴
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