きのこていしょく

 休日出勤ならぬ、休日登校を行っていたワタシたち生徒会役員は朝から黙々と昨日、笑舞先輩と柚鈴先輩が購入してきた木材を組み合わせて目安箱を作っていました。

「海君、これでラストォ!」

「よっしゃ!」

 目安箱の作成を始めてから三時間ほどが経ち、未だに元気が有り余っている会長と柚鈴先輩を体力切れで早々に目安箱制作をリタイアした美沙先輩とワタシ、ナナの三人は遠くから見つめていました。

「海先輩と柚鈴先輩元気ですね」

「二人とも体育会系だからね。海はもう少し早くギブアップすると思ったけど」

「自分から言いだした手前辞めにくくなってしまった感じでしょうか?」

 目安箱をどのような材料で作るかという話になった時にその場のノリに流されて木材で一から作るという会長の案に嬉々として賛成してしまったのが失敗だったと今更ながら反省しました。

「お腹空いたな」

 美紗先輩がそろそろ十二時を迎えようとしている時計を見つめながらそう呟くとナナのお腹の虫が小さく鳴きました。

「ナナちゃんもお腹空いたみたいだね」

「すいません。お恥ずかしい音を」

 ナナはそう言うと一瞬で真っ赤に染まった自分の顔を両手で覆いながら恥ずかしそうにそう言いました。

「さっきまで動いていたからお腹が空いても仕方ないよ。二人ともお昼は用意しているの?」

「わざわざ自分の為にお弁当を作るのも面倒だったので今日は学食へ行こうかと」

「ナナも学食に行く予定です」

「良かった、美沙もお弁当持って来ていないから学食に行こうと思っていたの」

「学食に行くのは初めてなのですが、何がおすすめなのでしょうか?」

 何度か立ち寄ったことはあるものの、一度も学食の料理を食べた事のないワタシは二人のおすすめを聞いてみることにしました。

「ナナはクリームシチューが好き。美味しいよ」

「美沙もクリームシチューは好きだけど、この時期なら季節限定のキノコ定食かな。キノコの混ぜ込みご飯とキノコ汁、きのこの天ぷら。思い出しただけでお腹が空いて来ちゃった」

「えぇ~!? そんなメニューがあるんですか! 今日はそれにしようかな」

「ワタシも気になって来ました。是非食べてみたいですね」

 ワタシたちがお腹の虫を共鳴させながら雑談をしている間に会長と柚鈴先輩は最後の目安箱を作り終えたようで首から下げたタオルで汗を拭き取っていました。

「さて、昼にするか! 美紗たちの話を聞いていたら俺もキノコ定食が食べたくなってきた。汗流したら行くから先に席取っておいてくれるか」

「ワタシもシャワーを浴びたら合流します! キノコの混ぜ込みご飯は大盛り出来るでしょうか!」

 ワタシたちの雑談は会長と柚鈴先輩にも丸聞こえだったようで生徒会役員全員の頭の中はキノコ定食一色に染まっていました。

「では、ワタシたちはお先に食堂へ向かいます」

「海先輩、柚鈴先輩また後で」

「二人の分、頼んでおこうか?」

「大盛りで頼む」

「ワタシも大盛りで!」

「了解」

 シャワー室へ向かう会長と柚鈴先輩と別れたワタシたちは食堂へと急ぎました。



生徒会議事録

 キノコ定食美味しかったですね。 七海

 やっぱり秋の味覚は美味しいよね。 美沙

 学食の大盛りがまさかあんなに大盛りだとは思いませんでした。 笑舞

 育ち盛りの学生には安くてボリュームがあるのは嬉しいよな。 芹沢

 少し足りないくらいです! 柚鈴

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