僕の幸せ

君は幸せになるべきだ。


君には幸せになる権利がある。


君は幸せになっていいんだよ。


 そんな言葉をかけられることがある。周りには僕が幸せというものを放棄しているように見えるらしい。

 確かに、ある意味で言えば僕は幸せを追い求めてはいない。もっと正確に言うならば「これ以上の」幸せは、だ。


 僕にとっての幸せは、全て一人の女性からもらったものだ。その女性が与えてくれたもの、それが僕にとっての幸せの定義だ。しかし彼女はもういない。ずっとずっと遠くへ行ってしまった。だから、僕の幸せはもうこれ以上増える事はない。

 でも、僕に必要な幸せは彼女がくれたものだけで十分なのだ。だから、彼女以外の人がくれる幸せはいらない。残りの人生を彼女が残してくれた幸せを反芻しながら生きていく。周りには理解されないけれど、それが僕のもういなくなってしまった彼女へのせめてもの愛の形。

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