ヘレティック・ヘイト・ディヴァイン

藤原埼玉

第1話

 ―冷戦で東国と西国には仮初の平和が訪れたが、緊張関係は未だ続いており中でも水面下での宗教戦争は激化の一途を辿っていた。


 西国のとある貧民街の孤児院


 石窓から覗く外はまだ暗く路地から路地へ物乞いが歩いている。今日の空模様は曇りだろうか。西国の山間部の日照りはひどいもので、これから仕事で東に向けて数日歩くことを考えるとその方が随分ありがたかった。



 かつて幼かった私は残飯やら猫の死体やらが捨ててある街の路地裏を掃いて綺麗にする仕事に憧れた。表通りは私には分不相応に眩しく、裏通りは不思議と心が落ち着いた。


 私の仕事は教会の濡れ仕事ウェットワークス


 異教者ヘレティック。穢らわしきもの。我が神が憎みしもの。


 私はそれら異教者を世界から消して回る清掃屋だ。

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