第754話 失態じゃあ
『マスター。さらにモンスターの大群が接近しているそうですわ。今度は南方から……いえ、西と東からも。ヴリキャス帝国の飛空艇部隊が、つぎつぎと撃破されているとのことですわ』
「対処できるか?」
『任せておくっす! ウチとアイリスがいれば問題ないっすよ。瘴気なんかもう怖くもなんともないっすから』
「そいつは心強い。頼んだぞ」
さて。
広場に視線を戻すと、急襲部隊と五星天の戦いが激化しているのがわかる。
ムサシとハラシーフは互角の戦いを繰り広げているし、サニーとその仲間達はティエスを追い込んでいる。
アデライト先生は、教皇を守る騎士を早々に無力化し、教皇とド派手な魔法バトルを展開していた。
ヒーモとイキールに関しては、六対二で激闘を演じている。六対のフェイカーにヒーモが指示を出し、イキールとリッターは華麗な剣捌きでそれに対抗している感じだ。
一見して、ほぼ互角。
こちらも最精鋭をぶつけたつもりだったが、敵もなかなかやるな。
「ロートスより司令部。聞こえるか?」
『こちら司令部。どうぞ』
セレンの声だ。
「ブランドンの方は問題ない。マーテリアの手先が襲来したが、対処できるレベルだ」
『了解。女神はみつかった?』
「いや。ブランドンにはいないみたいだ。いま守護隊が捜索している」
『わかった。あなたはすぐに脱出して。女神がいないならそこに留まる意味はない』
「待ってくれ。五星天との戦闘が拮抗してる。加勢してもいいか」
『だめ』
俺の加勢を、セレンは許可しなかった。
『あなたがそこにいることはまだ気付かれちゃいけない。ファルトゥールがどのような動きに出るかが未知数。女神の居場所がわかるまでは待機して』
「……そうだな。わかった」
もどかしいが、仕方ない。
俺の役割は女神の討伐。そのタイミングが来るまでは下手に動けない。
ここにファルトゥールがいないと分かった以上、離脱しないといけないか。
『主様。応答願います』
「レオンティーナ。どうした」
『女神の居所ですが……』
「もうわかったのか?」
『もうしわけありません。三か所とも、すでにファルトゥールが去った後でした。他の場所に向かったと思われます』
「なに?」
他の場所か。
俺が行ったことのあるところで、ファルトゥールが行きそうなところって。
まさか。
『こちら司令部』
セレンの声。
『何かが高速でこちらに接近している。あれは――光?』
念話灯から響く轟音。
それきり、通信が途切れた。
「おい……おいセレン!」
どういうことだ。
「応答しろ! なにがあった!」
呼びかけるも、返事はない。
『主様。やられました。ネオ・コルトは囮です』
「なに?」
『ファルトゥールが、グランオーリスの王都アヴェントゥラと、亜人連邦の首都アインアッカを攻撃しました。被害は、甚大です』
俺は、言葉を失った。
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