第498話 守備範囲が広いだけですから

「うーん。でも、他の女にそんなことは起こらなかったけどなぁ」


 俺がこの世界に戻ってきてから抱いたのって、エルフを除けばルーチェだけか。


「突っ込んで聞くでやんすが、そのおなごには中で出したでやんすか?」


「……いや、出してない。流石に妊娠させるわけにはいかないタイミングだから、外に出したな」


 いや何の話だよこれ。


「別に下世話なつもりじゃないでやんす。うちの娘達との違いはそこにあると言いたいのでやんすよ」


「なるほど」


 見た目幼女のオーサとこういう話をするのは、なんか罪悪感に駆られる。


「それで? その話がなんなんだよ?」


「あっしらが協力する条件として、ロートスにはエルフ達を抱いてもらうでやんす」


「……またか」


「またでやんす。あっしらにとっては、これ以上ないメリットがあるでやんすからな」


 魔法に長けたエルフにとって、魔力が激増するというのは願ってもないことだろう。だけど、だからといってそんな簡単に男に抱かれるもんか?


「もちろん種の存続も兼ねて、でやんす。それくらいのわかりやすいメリットがあった方が、皆の賛同も得やすいでやんすよ?」


 オーサがふふんと得意げに言う。


「仕方ない。亜人連邦の為だ。亜人の統一のために仕方なくエルフを抱きまくるかー。いやー仕方ないよなー。亜人連邦のためだしなー」


「しらじらしい男ナリ」


 副長が呆れたように溜息を吐いた。


「こんな男に抱かれる仲間たちが憐れでならないナリよ」


「何言ってるでやんすか。副長も抱かれるでやんすよ」


「えっ」


「えっ」


 俺と副長は同じ反応だった。


「ちょ、ちょっと待つナリ。なんで私が」


「副長として、エルフの未来に力を尽くしてくれでやんす」


「ぐっ。それを言われると」


「いやぁ……流石に断ってもいいと思うぞ」


「ダメだ。私は副長だ。エルフの為なら、どんな恐ろしい敵とだって戦ってみせる」


「そんなに嫌かよ」


 嫌がってる女を無理矢理ってのは趣味じゃないんだけどな。俺は紳士だから。


「まぁ無理なら無理でかまわんでやんすよ。ロートスに任せるでやんす」


「ほい」


「ちなみにあっしも頼むでやんすから、そのつもりで」


「えっ」


「えっ」


 俺と副長が驚く。

 そっちの方がやばい気がするんだけど。だってオーサって見た目幼女だぞ? 絵面的にえらいことになるぞ。

 まぁ、当時十歳だったサラに手を出した俺の言えたことではないか。


「引っ張りだこですわ」


 微笑み混じりの呟きが、アイリスの口から漏れていた。

 エルフがエロいっていうのは、アダルトな創作の中だけだと思っていたが、別に全然そんなことはなかった。

 二度目の異世界転生で、はっきりと実感したことがそれって、間抜けにもほどがあるぜ。


 ま、こういう感じの方が俺らしくていいけどな。

 完全に、そういうことだ。

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