第461話 旺盛じゃ
「うそ。種馬さま……?」
信じられない、といった風に呆然とするオルタンシアの前に、俺はゆっくり腰を降ろす。
「悪い。随分と一人にしちまった」
「本当に、種馬さま……?」
「ああ。幻じゃないぞ。正真正銘、本物のロートス・アルバレスだ」
「……今まで、どこにいたのですか?」
「すまん。話せば長くなる」
オルタンシアの手を握り、すっと引き寄せて口づけを交わす。
「ん……」
色っぽい息遣い。オルタンシアはなされるがままだ。
俺の舌が、オルタンシアの薄い唇を割って入る。それに対抗するように、小さな舌が絡みついてきた。オルタンシアの湿った舌先が、俺の口内の隅々を確かめるように這いずり回る。
ちょっと驚いた。
二年前、オルタンシアに種付けした時は、処女だったこともあってもっと控えめだったんだが。まさかここまで情熱的なキスをしてくれるなんて。
この二年で積もり募った色々なものが、爆発しているんだろう。
そのまま何十秒も、いや何百秒も、俺達は激しく舌を絡ませ合う。
唇がふやけるんじゃないかと思うくらいになって、ようやく名残惜しげに離れるオルタンシア。
「種馬さま」
「オルたそ」
言いたいことがたくさんありすぎて、言葉にならない。
それは二人とも同じだった。
「なぁ。ここって、あんまり人こないのか?」
「えと……自分にあてがわれた庭ですし、夕食まであと一時間くらいありますから、それまでは……たぶん」
それを聞いた直後、俺はオルタンシアを押し倒した。
ぱしゃりと、彼女の脚が水音を立てて上がった。
「あの……人が来ないと言っても、まったく来ないわけじゃ」
「すまん」
謝りつつも、俺はとまらない。
華奢な首筋に唇で触れ、舌で撫であげる。
淫靡な吐息が、オルタンシアから漏れた。
今の彼女にとっては、俺のぬくもりこそ必要に思えるんだ。
だから、多少強引にでも抱く。
いや違うか。それはおためごかしだ。
他でもない俺が、オルタンシアを求めているんだ。
俺のことを憶えていてくれる女との繋がりを欲している。
そうじゃなきゃ、俺という存在が本当に消えてしまいそうだから。
「あの……久しぶりなので、また、優しくしてください」
「その頼みは、聞けそうにないな」
お互いの荒い息遣いが混ざり合う。
「今回は俺も、全然余裕がねぇ」
二年前よりも何倍も魅力的になったオルタンシアを前にしては、普通に考えて辛抱堪らんだろう。
俺は彼女の服に手をかける。
褐色の柔肌は、ひんやりとしていて、火照った体に心地いい。
それでもオルタンシアの中は、火傷しそうなほど熱かった。
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