第383話 裏を感じるんだよなぁ

「ここが、星降りの街エトワールだ」


 馬車を降りて、ラルスが言う。


「大きな街だな」


 というのが俺の率直な感想だった。

 王都アヴェントゥラほどじゃないが、それなりの大きさだ。

 リッバンループよりは全然大きいと思う。


「国内の一大観光地だからな。少し前までは、神の山を拝みに来る人で賑わっていたらしい」


「モンスターの大量発生で、それもだいぶ減っちまったみたいだけどな」


 ラルスとハドソンの言うことが正しければ、この街の経済も大きな打撃を受けているだろう。

 うーむ。そういう意味でも、なんとかしないといけないか。金っていうのは人か人へ巡らないと死んでしまうからな。


「ロートス。俺達はとりあえず宿を確保しておくが、どうする?」


 そうだなぁ。


「オルたそ。どこか行きたいところとかあるか?」


「え……自分ですか?」


「うん」


「特にありません……」


 と言いながら、オルタンシアのお腹の虫が鳴く。頬を染めて薄いお腹を押さえるのも仕方ないといえる。


「飯だな」


「すみません……」


「謝ることはないさ」


 というわけで、俺はオルタンシアを連れて飲食店に行くことにした。

 情報収拾も兼ねて。


 なんとなく人が集まりそうな場所。特に冒険者っぽい奴らがいる店を選んだ。人が集まる場所には情報が集まる

 この国の冒険者は高給取りだから、必然的にいい店になる。高級レストランだ。


「高そう……ですね」


「気にするな。金はある」


 オルタンシアの手を引いて入店。

 テーブルに案内され、適当に注文を済ませると、俺はおっぱいの大きな若い女性店員に声をかけることにした。


「ちょっと聞きたいことが」


「はい? なんでしょうか?」


 女性は笑顔で首を傾げる。


「俺達は神の山を見に来たんだけど、最近なんか異変が起こってるとかなんとか。何か知らないかな?」


「そうですねぇ。モンスターがたくさん出てるって話は聞きます。街の近くまでやって来ますし。あ、でも冒険者の方々がちゃんと駆除してくれていますから、危険はありませんよ?」


「そりゃよかった。神の山はここから見られるのか?」


「ええ。街の東に礼拝所があります。大きな建物だから、すぐわかると思いますよ」


「ありがとう。ごはん食べたら行ってみるよ」


「いえいえ。ごゆっくり~」


 ふむ。


 ギルド長は神の山がモンスターの発生源だと言っていた。

 だとすれば、この辺りはモンスターで溢れかえっていてもおかしくない。でもそんなことはなさそうだ。

 冒険者が駆除していると言うが、それなら国中にモンスターがはびこることもないだろう。何か裏を感じるな。

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