異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ～奴隷を買って魔法学園で底辺生活を送ってたらいつのまにか英雄視され美少女に囲まれてた件～

第122話 スキルと魔法

　しばらく勉強をした後、小休止を挟むことになった。

「そういえば」

　俺はかねてより疑問だったことを思い出す。

「結局のところ、スキルと魔法ってどう違うんだ？　実のところ、違いがよく分かってないんだよな」

　効果が同じようなものもあるし、どっちがどっちかわからない事例もある。

　スキルとか魔法とか。ややこしいぜ。

「私も知りたい」

　セレンも俺に同調する。

　この問題は、未だ解明されていないと言われている。

　だが、ヘッケラー機関にいたウィッキーなら、何か知っているかもしれなかった。

　うーんと唸り、豊かな胸の下で腕を組むウィッキー。

「最新の研究によれば、スキルと魔法がもたらす効果にそれほど大きな差はないってわかってるっす。もちろんスキルにしかない能力もあれば、魔法でしかできないこともあるんすけど」

　俺は首をひねる。

「わかりやすい違いは、スキルは魔力を消費しないって点っすね。その代わり、魔力以外の代償があったり、使用回数みたいな制約があることが多いっす。先輩の『千里眼』なんかまさにそうっすね」

　それは経験的に理解できるぞ。『イヤーズオールドアナライズ』なんかは、日に一回しかつかえないしな。

「そもそも魔法自体、スキルの模倣から始まったんすよ。神より与えられた能力を、なんとか人為的に再現できないか、みたいな感じっす」

「そうなのか？」

「初耳」

「このあたりは秘匿された魔法の歴史っすね。普通に生きてたらまず知ることのない情報っすよ」

　つまり、スキルは神が創り出した力。

　魔法は人が生み出した力、ってことか。

　なるほどな。

「魔法の研鑽は、神の叡智に対する挑戦でもあるんす。でもそれを自覚している人が、一体どれくらいいるんっすかね」

「ほぼいないだろうな。ヘッケラー機関の奴らくらいじゃないか」

「ウチもそう思うっす」

　そう考えると、スキル至上主義っていうのはなんとなく理解できる気がする。

　強力なスキルを与えられた者は、神に愛されていると言っても過言ではない。より神に近しい存在が尊いものと認知されるのは分からない話じゃない。

　クソくらえだとは思うがな。

　神に愛されなかった者達が、それでも尚強く生きるために見出したのが魔法だというのなら、俺は魔法にすこぶる好感が持てる。

　両親が言っていた、スキルに頼らない生き方っていうのも、あながち否定できないかもしれない。彼らはヘッケラー機関の一員だったからこそ、そんな考え方ができたのだろうか。

　あの言葉は、本心から出たものだったのかもしれない。

　溜息。

　今は感傷に耽っている場合じゃないか。

「休憩終わり。続きだ続き」

　俺は頬を叩く。

　魔法を学ぶことが、運命を切り開くカギになるかもしれないな。