異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ~奴隷を買って魔法学園で底辺生活を送ってたらいつのまにか英雄視され美少女に囲まれてた件~
第74話 千年に一人って言っても人口とか出生率によって希少さが変わる
第74話 千年に一人って言っても人口とか出生率によって希少さが変わる
俺はその場で踏ん張り、吹き飛ばされないようにするので精一杯だった。
周りでは、エレノアの一撃の余波に耐え切れず高く吹っ飛ばされている新入生たちが何人かいた。
エレノアは手加減がない。まじで凄まじい威力だ。
アイリスは無事だろうか。
「ええ。これはなかなか――」
エレノアの拳を片手で受けとめ、アイリスは変わらぬ微笑を浮かべていた。
「やりますわね」
だが、やはり無傷。
「そうくると――」
エレノアが力強い笑みを浮かべる。
「思ってたわ!」
手を触れ合わせた至近距離。
二人の周りに、いくつもの火が灯る。
「フレイムボルト・レインストーム!」
ここでそれを撃つとは、思い切った判断だな。
弾丸はほとんどその場で爆発し、エレノアとアイリスを包み込んだ。
爆風が雨の軌道を歪ませ、野次馬に横殴りとなって降り注ぐ。
「なるほど。合理的ですね」
真剣な表情で決闘を見ていたサラが、深刻そうに言葉を紡ぐ。
「乙女の極光で肉体を強化し近付いて、至近距離から攻撃魔法を撃つ。自爆みたいに見えますけど、強化された肉体の防御力があるので、自分へのダメージは最小限に抑えられます」
「それは合理的なのか……?」
どちらにしろアイリスに効くとは思えんが。
爆風に煽られるようにして、エレノアが転がり出てくる。ワンピースは泥まみれになり、綺麗な顔や手足も汚れてしまっていた。
「これで……どう?」
荒い呼吸を整えながら立ち上がるエレノア。
なんか、あそこまで頑張っているあいつを見ると、いつの間にか応援してしまっている俺がいた。
爆炎は未だ晴れない。
「やるじゃないか」
俺のクソスキル『限られた深き地獄の耳朶』が、イキールの呟きを拾った。
「まさか乙女の極光を使えるとは……本当にただの平民か?」
「あいつは努力家なんだよ。昨夜は徹夜で魔法書を読み込んでた」
「なに?」
マホさんが会話に入ってきた。
「徹夜で読み込んでいただと? まさかとは思うが、一夜漬けで乙女の極光を習得したなどと言うんじゃないだろうな?」
「はは。そのまさかだよ」
マホさんはどこか誇らしげだ。
「あいつは昨日までフレイムボルトと、その派生魔法しか使えなかった。それじゃああの乳デカ微笑み煽り女には勝てねぇ。だから覚えたのさ。一発で強くなれる上級魔法ってやつをな」
「そんな無茶苦茶な……歴史に名を残す賢者達でも、そんな芸当は無理だっただろうに……!」
「エレノアは別格だ。間違いなく、千年に一人の逸材だろうぜ」
そんなにすごい才能があったのか、エレノア。優秀だとは思っていたが、俺の想像を遥かに超える天才だったようだ。
スキルだけじゃなく、魔法の才能にも恵まれるとは。
幼馴染として鼻が高いな。
それはそれとして。
フレイムボルト・レインストームの爆炎から姿を見せたアイリスは、またしても当然の如く無傷で微笑を湛えていた。
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