ジャンクキ-パーソン

@sea-bream

第1話 ゴミに突っ込んだ少女

 ゴミ袋の山は現代アートだ。

 薄暗い早朝、道路わきに面したゴミ捨て場には、昨日から捨てられたゴミ袋が

積みあがっている。大・中いびつに重なり合いながらも、芸術のようにそびえたつ

私は、作者のいないその作品をいつも楽しみにし通っている。

 今日の作品はとても面白い。

 学生服を着た何かが、ゴミ袋に埋もれ体後ろ半分をこちらに向けもがいている。鑑賞に浸り感心しているとき、目前の作品から音が聞こえてきた。

「すみませんそこの方…抜け出せなくなりました、助けてください。」

 その音は、か弱く少しかすれていたが。私が理解するには十分であった。

「あ…っはい、いま助けます」

 これが、彼女との初めての出会いだった。

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