第15話 樹海の道案内 ※追撃!思いは優しくそよ風に吹かれて。
巨人が魔女“ルサールカ”の娘から貰ったブローチ。
そのブローチから必殺のナイフが“御君様:ゆうや”を狙う。
“リノーチ”の捨身の防御と“ハクア”、“ジーク”、“ミケ”の
防御の構えの中、
現れたのは慈悲無く支配するモノの女将軍“ベルフェゴール”。
妖艶な女魔族から漂うのは危険な力。
強大な敵の出現で、隠密裏に引率していた“砂かけ婆さん”が表に
姿を現わす。
対峙する間もなく、“砂かけ婆さん”は命を賭ける戦いとなるを悟
り、孫娘の“砂姫”への今生の品を“ミケ”に託して必殺の技を繰り
出す。
結果は相討ち。
“砂かけ婆さんは”致命傷の中、末期の言葉を遺し砂塵に帰した。
“ベルフェゴール”は黒い霧化して逃亡する。
〈シクシク〉
“猫娘:ミケことくつ下”ちゃんの涙は止まらない…。
「お婆…。」小さく呟くのだった。
〜○〜
一陣の風に乗って、黒い霧と化した“ベルフェゴール”が逃げを
打つ刹那。
背筋が瞬間冷却されて心臓が凍てつく痛みを覚える程の
〈ゾワリ〉とした空気の脈動が走る。
“ミケ”だ!表情が一変している。
目が釣り上がり、口が裂け、野獣の牙が光る、その纏う雰囲気は
闇そのもの。
“ミケ”がいた場所に彼女の姿は無い。
樹海の森を突き抜けた遥か上空にその姿は跳躍していた。
全てを奈落に引きずり込む様な漆黒のオーラを纏って。
「逃すか!“ベルフェゴール”」
その声は〈ウォンウォン〉と、共鳴する怒迫力の音量で響き
渡る。
その時、僕は“ベルフェゴール”の黒い霧がニャリと笑った感触
を感じる。
イケナイ!罠だ。
“ミケ”ちゃんは、高高度からの必殺の猫爪!無塵を閃かせ高速の
滑空状態に入っている。
間に合わない。
止めないと!と必死に心で念じながら
「“ミケ”ちゃん危ない!罠だーー!」と叫ぶ。
もう嫌だ、大事な人を目の前で亡くすのは!嫌だ!嫌だ!
心が悲鳴を上げて萎んで際限なく凝縮されていく。
〈パキーン〉
何かが割れ砕け、一瞬辺り一面がモノクロになり
空間が〈ドックン〉と慟哭した。
あの時と同じだ!
〈どっくん〉今度は…。
僕の体の内側から慟哭が呼応する様に打たれる。
体の異変に戸惑う感はあるけど、無理は承知で
“黒い霧:ベルフェゴール”に待ったをかけるが
如くに手を突き出しながら追いすがる。
“砂かけ婆さん”が食らったあの斬撃波が頭を過る
が、〈どっくん、どっくん〉と湧き上がる熱い息
吹に何故かその不安も掻き消される。
〈ギュイーン、ピシッ〉
と僕の手の先前方で空気が響く。
斬撃波が来たのか。
でも弾かれた!その刹那、うー熱い。
体が燃える様に熱く滾る。
体の真ん中からオレンジの光の迸りを噴出して体全体を覆う。
〈どっくん〉という慟哭の中に自分自身の声を聞く。
「封印を解くは今ぞ!目覚めよ!
仁なる勇気の七色の光臨よ。」
瞬間、僕は“ベルフェゴール”の黒い霧を突き抜けて
その向こう側に立っていた。
駆け抜けた軌道上の黒い霧は〈チリチリ〉と霧の粒子
レベルでマグネシウムの火花のように燃え散り消える。
あっ“ミケ”ちゃんは!…。
〈チリチリ〉と最後の火花が散ったその斜め後方の上空
に、〈きらきら〉と光を反射する銀色の粒に覆われて
“ミケ”ちゃんは浮遊していた。
“ミケ”ちゃんの少し前方に弓状に凹んだ銀色の粒が
〈きらきら〉と光を反射している。
その銀色の粒一つ一つが優しく優しく微笑んでいるのが
分かる。
砂かけお婆の残留思念の銀色の粒だ。
優しさに包まれながら“ミケ”ちゃんが静かに降りてくる。
暫く銀色の粒は“ミケ”ちゃんを包んでいたが
〈ふわーっ〉と消え去って行った。
立ち居る“ミケ”ちゃんが振り返り僕を見て〈ニコリ〉と
微笑んだ。
もうあの獰猛な漆黒のオーラは纏っていない。
「“御君様”命を助けてくれてありがとうニャ」
あたしあたしを“御君様”の臣下にしてくれないかニャ?
命を賭してお仕えするニャン!
「臣下だなんて。。。こちらこそお願いねするよ道案内!」
ニャ〜と満面の笑みで手首を丸めて顔を洗う“ミケ”ちゃん
こと“くつ下”ちゃん。
僕は、“ミケ”ちゃんが小声で呟いた
「お婆、ありがとうニャ」
をそよ風のように心地良く確かに聴いたよ。
“ミケ”ちゃん!君には笑顔が似合うよ「ミャー」。
お婆、ありがとう御座います。
砂かけお婆さんともっと話したかった。
田舎の婆ちゃん家を思い出す心地良さを感じたよ。
そよ風に吹かれながらありがとうを心いっぱいで思った。
目指すは、シャングリ・ラ。
仲間も増えたね、みなみちゃん!
〜○〜
みなみとゆうやの冒険は、登場人物のまとめで振り返って
下さい。
※この次に寄稿しますね。
冒険譚はまだまだ書きますが一旦区切りますね。
実は他の冒険譚も騒がしくなってきましたのでそちらも
ご紹介したいと思います。
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