大好物のドーナツを取られてギャン泣きするチビツクヤ

ここは過去のジャパリパークの職員用居住スペースの一角にある家。

そこには天才と謳われた医者「神楽直人」とその家族が暮らしていた。


「ツクヤ〜、ただいま!」

「パパー!」


とことこと駆け寄ってきたのは小さい頃のツクヤ。

最近4歳になったばかりのちびっ子だ。


「おっ、ナオ。おかえりー」


ナオと呼んだ男は「暁京介」。

直人とは色々と縁がある。


「ツッくんいい子にしてたぜ、ヨウもツッくんと遊べると嬉しいみたい。」

「ナオおじちゃんおかえり!」


京介の隣でミニカーで遊んでいた子供は小さい頃のヨウ。

もうすぐ5歳。


「ツクヤ、お土産買ってきたぞ〜。」

「わふー!」


直人はにこやかに袋を取り出すと、中のドーナツをツクヤに見せた。


「ほらドーナツだ!」

「わあ!どーなっつ!」


ツクヤはにこにことした笑顔でシュガーのかかったドーナツを受け取ると、小さい口ではむはむと食べはじめた。


「あむあむ…」

「じーっ…」

「ヨウくんの分はこっちだ…って…」


直人がヨウにチョコドーナツを見せようとしたが、時すでに遅し!


『ぱくっ』

「「あっ…」」


ツクヤの手からドーナツを奪ってパクッと食べてしまった…


「う…うあ…」

「もぐもぐ…」


ツクヤの目がうるうるすると、じわじわと泣き顔になり…


「ぎゃあぁぁぁぁ!!やあぁぁぁ!!」


大きな声でぎゃんぎゃん泣き始めてしまった…


「あーっ…ツッくんごめんな?

こら!ヨウ、返してあげなさい!」

「もぐもぐ…ごくり…」


しかし、ヨウはすでにドーナツを平らげてしまっていた。


「あーこいつめ、もう食べちゃった…」

「うわぁぁぁん!!!ぼくのぁあぁぁぁ!!」


ヨウの手からドーナツが無くなったのをみたツクヤは余計に大きな声で泣き始めた。


「ほ…ほら、ツクヤ…こっちにまだ…」

「やだぁぁぁ!!やだぁぁ!!」


ツクヤはもう涙で前が見えないくらいに泣いているせいか、チョコドーナツには見向きもしなかった。

鼻水で鼻も塞がって、匂いもわからないのでしょう。


すると、奥から一人のフレンズが現れた


「あら…どうしたのツクヤ?」


そのフレンズはタイリクオオカミ、ツクヤの母だ。


「タイリクさん、ほんっとに申し訳ない!」

「いいのよ、子供のすることなんて。

ほらおいでツクヤ〜…♫」


京介の謝罪に爽やかな笑顔で答えると、ツクヤを抱き上げて奥の部屋に行った。


「…本当に頼りになる奥さんだな?」

「だろう?」


直人は少しドヤ顔になって答えた。


この後、泣き止んだツクヤはチョコドーナツを美味しく食べたそうな…

そしてヨウは京介にちょっと叱られた。



〜おしまい〜

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