不死身の政治家ー藤見健太郎

おむすびロコロコ

不死身の政治家

たった一人の街頭演説

男の声が響く



「皆さん、どうか、どうか、この【藤見健太郎】をよろしくお願いします」


「藤見、藤見、藤見健太郎をどうかよろしくお願いします」




・・・・・



「私は、財政健全化、防災対策、少子化問題改善そんなものは興味ありません」


「私が約束するのは一つ、【不死の世界】」


「だれも死なない【不死の世界】を約束します」


「公共事業投資はすべて、【不死の世界】の為に投資します」




・・・・・



「おしかりは、ごもっともです」


「私の事を、【悪魔】、【詐欺師】、【不道徳者】そうおっしゃる方はたくさんいらっしゃいます」


「皆さん、【人はいつか死ぬべきである】、そうおっしゃる方がいらっしゃいます」


「皆さん、胸に手を当てて考えてみてください」

「少しだけ、聞こえてきます【本当は死にたくない】」


・・・・・


・・・・・



異色を放った、この候補者

【不死の世界】を公約と掲げた【藤見健太郎】



メディアもSNSも連日彼を大バッシングした

「人はいつか死ぬから美しいんだ」

「実現性がない、詐欺師だ」

「考えてみろよ、いつか人は増え続けて滅ぶだろ」



到底、選挙になんて通らない

たまにいる選挙の変わった人とみなされていた




しかし、大方の予想に反して・・


藤見健太郎は当選してしまった



世論は、毎年代わり映えのしない区議会議員選挙に飽きていたのか

それとも大衆は彼を批判をしつつも、少し【不死の世界】と言うものの実現性に興味があったのか




これが、不死身の政治家の藤見健太郎の始まりであった

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