第12話 「学校祭」 その23
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「ねえ、起きて」
うっすらと開いた瞼の隙間から、よく見た顔が写っていた。くっきりとした大きな瞳に、こちらに垂れた焦げ茶色の髪、まあ見て分かる通り僕の義妹だった。
「ん……ぁ、ああ……」
今日も今日とて、晴天な朝だ。カーテンの隙間からこちらを覗く陽の光に軽く会釈をしながら目をくっきり開けると不思議そうにこちらを覗く四葉がいた。
「……ん、どうかしたか?」
「え、あ、いや……なんで急に会釈してるのかなと……」
「うーん、なんとなく」
「そ、そうですか」
「うん」
すこし俯く彼女、朝から少しだけテンションが低いが一体どうしたのだろう。
「……四葉?」
「っ、あ、すみません……そのご飯できたってお母さんが」
「お、ほんとに? じゃあ食べるとするか……」
「は、はい……」
目線が泳いでいる。
僕、また何かやらかしたのかな? それとも、前言っていた僕が何もわかってないとか何とかいうやつなのか、もしかして?
「四葉、目線が泳いでるけどどうしたの?」
「……っな、なんでもないですっ」
「いやでも」
「いいから……早く朝ごはん食べないと! 学校に遅れます!」
「え、でも……」
「ゆずと……いいから」
「は、はい」
急に睨みつける四葉に勝てず、僕は部屋を追い出されてしまった。
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