フカヒレ


おれの友達はフカヒレ

とっても優しい

中にはいじわるなフカヒレもいるけど

大抵は温和なフカヒレだよ

だから大丈夫

こうしてフカヒレといるだけで

心が和むんだ

「ねえ、人間ってどうして戦争なんかするんだろうね?」

おれは日頃から思っていた疑問を口にした

フカヒレはおれの頭を軽く撫で言った

「知らんよ」

まるでお母さんみたいだった

おれは夢の中でまたフカヒレに会った

今度のフカヒレは食べ物だった

みんなでそれをガツガツと食べるんだ

「やめてよ!」

おれは叫んだ

おれの友達のフカヒレを食べないでよ!

だがその声は届かなかった

おれがいつまでもめそめそとしていると

「お前も食べてごらんなさい」

お父さんが促した

おれはその見事な食感に思わず顔がほころぶのを感じた


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