かずのこ
「かずのこは何の子供だろうか?」
と尋ねられれば
「そりゃあ数の子供だろう」
なんて答えるぐらいいい加減な人間なんだがおれは
そんなおれだって真面目になる時はある
詩を書く時だ
まじだぜおれは
真剣に今というこの瞬間を生きている
「えーと、村田の中身はどんぐり以下でした………よし完成だ」
詩を書き終わった後はいつも凄まじい開放感に包まれる
「これならオナニーなんて必要ねえや!」
まるで昭和の少年漫画の主人公のように叫んだ
「おれっち、オナニーなんてぜんぜん必要ねえや!」
そしてぐっと握り締めた拳を振り回した
それが母ちゃんに激突
母ちゃんが言った
「なんだい不思議な子だね! 相手もいないのにお喋りしちゃってる! 本当に自分の子宮から出したのかもはや自分自身にも確信が持てないよ!」
おれはしゅんとしょげた
母ちゃんはさらに続けた
「おまけに自慰がどうだとか! あんた母ちゃんを一体どれだけ失望させれば気が済むんだい?」
おれは恥ずかしくて顔から火が出そうだった
母ちゃんの説教はまだまだ続いた
「母ちゃんはねえ、お前の自慰についてどうこう言うつもりはないけれど、やるんなら義母だけは勘弁してくれよ? 母ちゃん、お前のコレクションを観る度にゲロ吐きそうになるんだから」
おれは青ざめて言った
「おい母ちゃん! 勝手に人のコンテンツを漁るなよなっ」
「んまあ!」
母ちゃんが大袈裟に反応した
そしてそのあと何か言うと思ったら今度は何も言わなかった
沈黙が部屋の中に訪れた
おれの猛反撃が始まった
「母ちゃんのやってることはさ! はっきり言ってプライバシーの侵害なわけ!」
昔の人はこういう時のために実に適切な言葉を用意してくれている
『親しき仲にも礼儀あり』
結局、昔の人から教わることの方が多いのだ
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