第十九節:合流

 私は座標をみんなから一メートル程ずらして設定し、一気にゲートを潜った。


 その瞬間、私の周囲が白く輝いたのであった。



 そして閃光が収まって、少し経った。


「『ウィオラ』か!?」と『ウィーゼル』がいった。



 瞳を開け『ウィーゼル』を確認すると「大丈夫です。私ですよ」と答えた。


「ここは暗黒界よ? 元の場所には戻れるの?」と『セリア』は疑問に思ったことをいった。


「みんなの現時点での座標は、まだ宿屋にあるの。何らかの形で、肉体だけ物理的に移動させられたと考えられるの」と私はいった。


「私も元に戻れるように、ポイントを設置してきたので大丈夫です」ともいった。


「つまり、ココにあるのは物理的な部分だけで元の座標から動いてないということ?」と『セリア』がいった。


「その解釈で合ってる」と私が返答した。


「それと休憩できる場所を作ろう」ともいう。


 アナザーワールドブレイクを唱えた。


 その瞬間少し輝く空間ができたのであった。


 その空間の中に腰を下ろした。


 皆その空間の中に入って、「ココは普通の空間のようだな、違和感がない」と『ウィーゼル』がいった。


「多分、この状況を作り出した悪魔がいると思う。その悪魔を倒さないと、元に戻しても同じことが続くと思う。元凶を何とかしないと」といった。


「それにはまず、見つけないとね」と『セリア』がいった。


「高みの見物と決め込んでいる奴はいるんじゃないのか?」と『ゲルハート』がいった。


「明らかに遠いが、見えると思われる位置にいるヤツを探せば」とも続けた。



「これを見て」と『セリア』はイリュージョンを展開し皆の真ん中程にレ-ダーパーセプションでとらえた立体図を展開して見せた。


「この青い点が私たちの現在地よ」とも続けた。



「赤色のグループが比較的近いけど寄って来ないヤツ、緑色のグループがかなり遠距離に居て気付いているのか良く分らないヤツ、その外側にいる橙色のグループが良く分らない位置にいるヤツよ」と解説をえた。


 地形も白線で綺麗に描写されており、分かりやすいとは思えた。


「ここの窪地くぼちにいる集団が怪しくねえか?」と『ゲルハート』が指し示しながらいった。


 その集団は緑色と橙色の中間地帯に、なぜか円陣を組んで布陣しており明らかに何かやってますよ的な状態にあった。


 色はとかく、怪しさ爆発の勢いであった。


「そいつらが一番怪しそうだな。十体か、そこそこ激戦の予感がするぜ」と『ウィーゼル』もいった。


 すると『セリア』のほうで色を付け直したようだった。


 そいつらとその周辺で、関係してそうな奴が黄色に染まったのであった。


 イリュージョンを『セリア』がいったん片づけて、皆にナビゲーションを唱え設定位置と色配置と矢印を加えたようだった。


 みんなの視界上の右側の下辺りに、黄色い矢印が現れた。


 私に見えているのは、縦に平べったい薄い矢印であった。


 その代わり左右真ん中がすぐにわかるものであった。


 みんなも同じに見えているようであった。


「便利じゃな、魔法ってのは」とは『ウィーゼル』の弁であり、『ゲルハート』もクルクルとその場で回って方向を確認しているようだった。


 私も、こういう風に使うのかと思って眺めていたわけではある。


 不思議なことにその間にもソイツは動かず、位置を変えないのであった。


 影でも移っているのかと思ったが違う様だった。


「行く準備はオッケーよ」と『セリア』がいった。


「今何個術を維持してるのですか?」と私が聞いた。


「味方だからいいけど、本来はマナー違反よ? 一応、三つだけど?」と答えてくれた。


 レーダーパーセプションとナビゲーションは分かったがもう一つは分からなかったが、確かにマナー違反ではあるのでそれ以上の思考を切り捨てた。


 術者同士だとついそっちのほうに興味が行くのである。


 みな、移動の用意ができていた。


 私も移動できる状態にした。



第五章 第二十節へ

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