第十三節:空中戦
その瞬間私は宿のテラスの縁を蹴って宙に身を躍らせ、フライトを発動させた。
飛行速度を上げる私、空中の対象に追いつくためである。
輪を書いて飛んでいた、ワーム種がこちらに向かって大きく口を開け突撃してくる。
空中戦闘が始まった。
やはり接近戦は危険だったかと思わせるものではあったが、接近戦ができないわけではなかった。
すれ違いざまに魔法武器創出を瞬間的に唱えオーバーロードをかけ切り結んだのである。
対象の硬さを知るためには、どうしてもしなければいけないことだったのだ。
案の定、対象は斬られたことすら感じずに悠々と飛んでいるではないか。
オーバーロード(過剰出力)が、かかっていてそれである。
ランクの低い魔法は多分効かないであろうと思われた。
よって初手から大魔法の花が開くのではあった。
手加減するなどということはできず、いや……する気もなかった。
三匹の対象が一列になる一点を狙って、ライトニングブラストを放つ。
この術は射程そのものは大したことはないが、直線状に居るものすべてに等しくダメージを与えられるということに大きな利点があった。
事実この一発で、三匹中の小型と中型は落ち大型のみ残ったのであった。
しかもその残った大型もキリキリで踏みとどまったから、そこに居るだけであった。
今の一撃で他の八匹も集まって来ていた、大型四、中型三、小型一であり不利は否めなかったがやるしかなかった。
ひたすら空中を逃げ、よけ続けることを要求された。
九匹がかなりいい連携を行って、攻撃してきたからであった。
意思疎通はかなりできるらしかったが、言葉をしゃべっているわけでは無いので相手の感情は読めなかった。
ただこちらも逃げているわけではなく、空中に障害物を作ってうまく誘い込んでいたのであった。
さっきと同じように直線状に数匹が載った、またもやライトニングブラストである。
ギリギリで回避しつつ、対象に一瞬触れてソウルスマッシャーを唱えてみた。
その瞬間空中にいるにもかかわらず、地面の上を転げまわるような動きで苦痛を私が術をかけ触った一体が行った。
効くのか! と思ったが接敵して触れないといけないので、さっきのような偶然は早々起きないと思われた。
そして、三匹が一緒に私を嚙みに来た。
その瞬間を狙って、ディレイをその三匹にかける。
飛行速度も鈍り、反応速度もガタ落ちした三匹がいた。
この場面もやはり、ライトニングブラスト! だった。
三匹があっという間に電撃で焦げ、地上に散った。
残り六匹! と思いレイダーを再展開して、三次元座標を頭に入れつつ空間戦闘を続行した。
今度は、ライトニングクラウドを展開した。
触れるとマヒする電撃雲である、私の周囲に展開させ防御幕としてみた。
少し離れたところまで対象らが移動回避していく、さすがにこの雲のことは分かっているらしい。
少し距離が伸びたため、ライトニングブラストの射程からは外れてしまっていた。
仕方が無いので牽制替わりにイージスシールドを発動させる。
弾数だけは多いので、対象らの体力を少しづつ奪って行っていることが分かった。
対象の反応から、若干ずつながら情報を得られているのである。
私を後ろから襲うべく、最初に怪我をしたやつが迫っていた。
敢えて隙を見せて、魔法戦の距離に持っていくことにした。
そしてギリギリで回避したように見せかけて、グランディングをソイツの翼にかけた、その瞬間翼は粉砕された。
そして地上めがけてかなりの高速度で落下していき、墜落した。
そしてそいつは動かなくなった。
残り五匹である。
体力は私はまだ残ってはいるが、対象はかなり削れてきているはずであった。
こちらの消耗も激しかったが、それなりに効果はあったのである。
もう一息だといえた。
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