第三節:ドラゴンゾンビ
セルテトネの駅馬車乗り場に降り立った際に、聞こえて来たのである。
「古都側にアイツが巣食ってるから駅馬車は出せん!」という駅場所管理組合の偉い人がそういったのだ。
「アイツって誰だよ!」とランクの低そうな六人の冒険者パーティーたちがいった。
「おまえらがドラゴンゾンビを退治してくれるなら駅馬車を出そう!」とそういったのである。
少し離れたところで聞いていた我々のうち「ドラゴンゾンビか厄介じゃな」と『ウィーゼル』が小声でいった。
「確かに厄介ね」と『セリア』もそういった。
「無限の体力、すでに死んでるから殺すことはできない」と『ゲルハート』もいう。
「埋められれば出て来れそうには無いんですけどね」と私がそういった。
「翼が残ってるやつだと飛ぶからさらに厄介じゃ」と『ウィーゼル』はいった。
「あの翼付きのドラゴンゾンビを倒せるわけが無いだろう! たかがランク五の冒険者御一行様が束になっても勝てるわけない!」とさらにその偉い人がいった。
「ランク五じゃ勝てないわねー」と『セリア』も非情にいう。
「
「つーか、迂回ルートといっても結局そこを通るしかないんじゃないのか?」と『ゲルハート』はヤレヤレといった表情をした。
「では、どうします?」と具体的な検討に入れた私が居た。
「翼を切り落としさえすれば、行動半径はガタ落ちするから狙うならそこじゃろ」と『ウィーゼル』はいった。
「報奨金はどーするの? って言ってももういらないほど持ってるけれども、結局翼を落としても足が速ければ回り込まれちゃうでしょう?」と私は現実味の有ることで牽制した。
「ランク五に倒されたとあっては、ランク十一としては名が
「確かにそうなんだけれども、寝ているところをやれば行けるかしら」とは『セリア』の弁である。
「後は、異空間にほり込むかだけど?」と新しい提案をしてみた私が居た。
「そんなことできるの?」と『セリア』が聞いた。
「いかなドラゴンゾンビとはいえ、異空間で
「
「火界でもいいし、暗黒界に転移させてもいい、やり方はたくさんある。但し呼び出した術者が近くに居ないことが前提条件ですけれどもね」と私はいった。
「術者の存在を忘れていたな。なぜそこにドラゴンゾンビが居るのかを考えれば、必然と上がってくる答えじゃな」と『ウィーゼル』はいった。
「術者が居たら、間違いなく、ランク五のパーティーにゃ無理じゃな」とも続けた。
「最低でも、ランク十二は覚悟しないといけませんからね!」と『セリア』はいった。
「何のためのドラゴンゾンビでしょう?」と私が根本的なところを突いた。
「封鎖にしては大掛かりすぎますものね」と『セリア』がいった。
「実験かのう? 王都から派遣されてこない場所で自身の力を試そうとする、ある程度実力のある召喚魔導士ならやらないことは無いのじゃが、場所が場所じゃ。主要街道でわざわざやる意味がないんじゃないか?」と『ウィーゼル』が答えた。
「どの道倒さにゃならんのなら行こうぜ! ランク五にしゃしゃり出て来られて俺たちの手柄だなんて言われたらうっとおしい。手は任せる! 『ウィオラ』の言う異空間に落とすを試してみようぜ!」と『ゲルハート』はいった。
そしてヤツラがいい争っている間に、警備兵がいる所まで来た。
「ここから先にはドラゴンゾンビが居る、ランク十以下のパーティーは通せない!」とお定まりのセリフを吐いてくれたので、私たち四人は冒険者証を提示してランク十一であることを示し入って行った。
「『セリア』は術士に備えてバックアップ! 俺らで食い止める、『ウィオラ』は例の手を試してくれ! 不可能な場合叩き潰す!」と『ゲルハート』がいうと左右から『ウィーゼル』と別れて突っ込んで行った。
私も射程距離が短いため、突撃していく。
「
一瞬対象がフッとその場から消えたのだが、「
「術者が居ます! 直接破壊しましょう! シールド! マジック・レジスト! コーティング! ディフェンス・ブレイク!」と私が四魔法を同時に前衛に掛けた。
「
その瞬間、対象がどこからこっちを見ているのか分かった。
「左側の塔の中です!」と大きく『セリア』に聞こえるように叫んだ。
その直後私たちの頭の上に「ホワイトクラウン!」という暗黒魔法への対抗術式が乗ったのだ。
「
ランク十三に該当する魔法だった、そして余裕の笑みを演技で貼り付かせた!
「『ウィーゼル』、『ゲルハート』一旦離れて大技を使うわ!!」と私がいって、二人が離れたのを確認すると大技をぶちかました。
「メガ・スマッシャー!」私が正面に居るからできる大技なのだ。
射程は若干短めだが、直線状にあるモノすべてを巻き込む大技なのだ。
流石に今ので骨だけに変わった、肉や翼はすでに焼け落ちている。
「
そしてドラゴンゾンビが只の骨に変わったのだ。
『セリア』が叫んだ。
「ホワイトアタック弐!」と、左の塔に居る術者にモロ当たったようだった。
抵抗以外、効きようがない術式なのであった。
「
塔から落下してくる対象に向けて放ったので、避けようがない攻撃だったそしてその半数以上が叩き込まれた。
ボロボロの漆黒のマントを
そこに私の術式も炸裂する「
「
「
「貴様ら何者!」とその術者がいったのだ。
私がいい切った。
「ここを安全に通りたいだけの冒険者よ」と。
私が術者に答えたその次の瞬間だった。
次の瞬間、「うるせえ
当然指輪類は全て取り外されたうえで、衛兵詰め所に『ゲルハート』に持ち込まれ突き出されたのである。
「コイツが例のドラゴンゾンビを操っていた術者だ、アレはもう出ない!」と『ゲルハート』がいったため、「冒険者のランクを確認したい」といわれランク十二に上がった冒険者証を提示したので報奨金二千ゴルトが支払われたのであった。
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