第二十七節:悪霊退治
「それは良い案だな」と『ゲルハート』がいった。
「それは盲点だった」と『ウィーゼル』はいった。
「じゃあ決まりね」と『セリア』はいった。
「それなら分散退治する必要はないし、集中してくるでしょう?」と私がいって締めたのだった。
「じゃあ、サリーネ神殿前の広場で円陣組みましょう」と『セリア』はいった。
それから二時間後、夜の
流石、夜はレイスが徘徊するという話が出ていて被害があるせいか、神殿前には門番も出ておらず扉は堅く閉められていた。
私は「エグジスタンス」と呪文をかけ魂魄界と物質界しか無いことを確認して置き、異界感覚とレイダーを唱えておいた。
因みに私のレイダーの半径は百メートルである。但し異界感覚と重なるようにしているため負の生を持つ者でも捉えられる特徴を持っていた。
『セリア』もレイダーはかけてある但し私より範囲は広く半径二百メートルになるように調整して魔法がかかったものや神器を持っていても引っかかるようになっていた。
寒くは無いが、うすら寒くなるような感覚がした。
「何か来たかも」と私が
「近くに集団がいるわ! その数およそ二十!」と『セリア』がいって南方の方向を指差した。
「それは全て不死者ですね」といってから、「マジックソードエクストラクション」といって刀から抜刀した、本気モードである。
「元冒険者で今は不死者なんでしょう!」と私はいい放つ。
「だからアレは囮かと」と追加するのも忘れない。
「だが邪魔者には違いあるまい!」という『ゲルハート』そこにエンチャントが漆黒のグレートソードにかかる。
そのまま『セリア』の「ショックバレット!」も二十発ほど飛んだ。
近寄ってきたころにはすでにボロボロになっていた。
そのゾンビの群れに『ゲルハート』は、移動薙ぎ払いをかけ、一撃のもとに全てを
私は、異界感覚に合わせレイダーも球状に展開した。
近くの屋根の上に佇む
ソイツに向かって、
ワザと手加減して。
ランクを落として見せるために。
ソイツが屋根から降りてきた、勝てると踏んだのだろう、ランク七なら。
『セリア』のレイダー感覚にも乗る。
「真南に大きな反応! 多分ボスよ!」と『セリア』はいった。
青月の光と赤月の光が、差し込んできてそいつを浮かび上がらせた。
ゴーストではない。
手に大鎌を持っている。
死神かレイスかのいずれかだった。
一瞬で南側に展開しかけた『ゲルハート』が『セリア』の前に戻ってきた。
「アトリビュートアサインメント・ホーリー」と私は聖属性付与を行う。
まだ余裕
「マジックレジスタントエンハンスメント」と術をかける。
すると少し戸惑いを見せたような動きをした。
十五メートルまでは近寄ったがそこから動かないのだ。
「『ウィーゼル』支援お願い」というと私は「
『ウィーゼル』も術を唱えた皆と自身に「ホーリーコート!」と叫び術をかけ、追加で「
さらに襤褸切れに「ディフェンス・ブレイク!」と『セリア』の呪文がかかり。
あきらかに襤褸切れは
次の瞬間!
襤褸切れの武器は一瞬で破壊された。
ソイツもかなりの深手を負った。
がそこで終わらない、そのまま私が斬り抜け反対側で通せんぼをするのとほぼ同時に超接近距離から『ゲルハート』が「ストライクラッシュパワーヒットオール!」と叫び脳天から竹割のように九連撃に全て強打と命中を乗せ粉みじんに粉
それで終わりではない、『ウィーゼル』は「
が、そこで終わりはしなかった。
「リィンカーネイション!」と『ウィーゼル』はさらに詠唱する。
キラキラと何かをまき散らし襤褸切れが空中に溶けて消えたのである。
そして“シャリーン”と音がして地面に何か落ちた。
最後に残ったのは貴族の良く付けるであろう類の首飾りであった。
流石に門の目の前で
流石に『セリア』がそれを留めたので一大事にはならなかった。
「それは呪われている可能性があるから神殿に引き取ってもらいましょう」と『セリア』はいったので『ゲルハート』が「オー怖え」といって触らずに事なきを得たのであった。
「その前に、
「んー、
「司祭様、街を
『ウィーゼル』が詰め所に持って行き件のレイスを片付けましたといって神殿の証明書を見せたため、四千ゴルトの報酬を受け取ることになった。
因みに『ウィーゼル』の冒険者証のランクはランク十になっており、もう何事もいわれないランクになっていたのはいうまでもなく。
青い装束の神官様がレイスをランク十パーティーで片付けたたらしいと翌朝には噂になっていたのはいうまでもない。
宿に戻って、部屋に戻り皆で千ゴルトづつ麻袋に入っていたので一人ずつ分けたのであった。
五十ゴルト金貨二十枚ずつであり重量が一.二キログラム増えベルトポーチが重くなるのを嫌った私は荷物の方に詰めたのであった。
第三章 第二十八節へ
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