第十三節:船上のランチ
「そっかあ、本物だったわけだ。こりゃ付け
「『ウィオラ』
「師匠からは余り大っぴらにしない方が、その場にいやすい。と言うのを教え込まれていたわけですので、師匠から習ったものを生かしているわけではあります」と答えることにした。
「師匠から言われているのか、それはすまなかった。キツイ言い方をするつもりでは無かったんだ」と『ウィーゼル』が
「それに、私自身が上級伯爵と言うわけではありませんし」とも追加した。
とかなんとか話しているうちに、時間は三十分になろうとしていた。
「『ゲルハート』が遅いっ」と『セリア』が席から立ち上がった。
どうやら無理にでも、連れて行く気らしい。
そして二分後、『セリア』に突かれながら『ゲルハート』が戻ってきた。
笑顔では無かったので、察するに負け
「どーして、時間ギリギリまでしようとするのかしら」と『セリア』は怒るでもなく、
「今から上がればバッチリ時間通りよ。昼食に間に合うわ」と『セリア』がいったのでパーティー一同が、
そして皆で今日は何かしら的な感じで食堂まで歩いて行った。
少し早かったのか、食堂の前には一家族しか並んでいなかった。
なので、そのすぐ後ろに並ぶことになった。
直ぐに食堂が開き、一グループづつ案内されていった。
二グループ目なので直ぐに案内係が来て、かなり良い席に案内された。
今日は特等の席は空いていたが、誰も来る様子は無かった。
少し気になっていただけで、それ以上でもそれ以外でもなかった。
本日のメインは、グラジアの肉料理だった。
グラジアは放牧されている羊の一種であるが、肉に臭みがなく調理しやすく栄養が豊富であるということで、ヴェルゼニア王国としては放牧推奨している数種の内の一種ではあった。
前菜は、ワイルドダガーフィッシュのマリネであり。
こちらも湖では手に入りやすい種類の、大型魚類であった。
大型とは言っても一メートル半ほどのサイズまでしか成長せず、釣るのに少々
付け合わせのジュースは、アセダイの実から採れる果汁百パーセントのものが、三百ミリリットルと少々多めについていた。
アセダイは赤い実で有名だか果肉は白く、
前菜は少量の塩と酢で軽めにマリネにされており、肉質が良く出ていてプルップルする身を食べる事ができた。
口の中に、独特な魚の身本来の味が、広がりを見せる。
かなり出来のいいマリネであった。
付け合わせの香草野菜プリームも悪くなかった。
プリームは味の浅い香草野菜の一種でありシャリシャリ感が際立っている香草である。
「この取り合わせは悪くないな」と『ウィーゼル』に凄く好評であった。
「プルプルシャリシャリは珍しい取り合わせですが、良い感じですね。新鮮です」と私も感想を述べた。
「確かに新鮮ね、この一口で食べられるサイズになっているのが特にいいわ」とサイズを評価した『セリア』にも高評価だった。
「俺はもう少しゴツクてもいいが」と『ゲルハート』からは一般的な意見が出て来ていた。
そしてメインがやってきた。
これぞメインと言わせられる代物であった。
リブロースステーキだったのだから。
それも三本。
「これよこれよ」と『ゲルハート』が言うとほぼ
私は違った、この手の骨付き料理を捌いて食べるのに慣れているので、ナイフとフォークを器用に使って肉を剥がし骨を綺麗に取り除き食べるのである。
それを見た『セリア』が私の真似をし始め、『ウィーゼル』もそれに
『セリア』と『ウィーゼル』は苦戦していたが、私の心の中ではガンバレー! という状態になっていたのはいうまでもない。
付け合わせのバゲットも一人一本付いてきた。
そちらは、肉を綺麗に食べ終わって、残ったスープに付けて食べるのである。
そちらは普通に手でバゲットを千切り一口大のサイズにしていただくのである。
主食が終わると。
デザートに移った。
本日のデザートはパンケーキクリーム乗せ蜜掛け二枚重ねである。
そしてホットカウフィーにするかエッシャレオンにするかを聞かれた。
私は炭酸が飲みたかったのでエッシャレオンをチョイスした。
『ウィーゼル』と『ゲルハート』が同じくエッシャレオンであった。
『セリア』はホットカウフィーを選んでいた。
エッシャレオンは少し炭酸がキツメの甘いシャレオンの果実を使った炭酸シャーベットとも言われる飲み物になるのだが分類的には食べ物になることもある超複雑な分類のものではある。
エッシャレオンの“エッ”と言うのはこの辺りではシャーベットを意味するのである。
ホットカウフィーは熱いカウフィーを意味し、カウフィーの実を
コーヒーの一種である。
「甘くて美味しいです」と正直に炭酸のシュワーッと口の中で溶ける感覚を楽しみながら、私は感想を言葉にした
「この味がいいのよー」と『セリア』はカウフィーを
私はあまり飲まなかったが父が大の好物で、良くアイスカウフィーを飲んでいたのを覚えている。
子供の口にはあまり合わない苦みがあるのである。
それは焦がす寸前まで焼くため発生するのだが、父はそれが良いといいながら良く氷を浮かべて飲んでいたのであった。
いわばカウフィーを
デザートのほうも秀逸だったパンケーキの焼き加減が、絶品なのである。
そして上に載るクリームの硬さも、絶品と言えるものだった。
第三章 第十四節へ
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