第八節:準備

「船便が楽しみー」と部屋に戻ってからもウキウキ状態の『セリア』がいた。


「ですねー」と合わせながら幾らかかるのだろうとちょっと現実的な話に頭が回っている私がいた。


 換金すれば事実、四プラナ出来上がるのは実際なのだが。


 私でこの状態だから、パーティーメンバーもそれなりの地位に居れば。


 と考えてしまうのであった。


「そろそろ寝ますかー」と『セリア』が不意にいった。


「ですねー、寝ましょうか、ここんところ板の間だったからベッドから抜けられなくなると困りますねー」とジョークを転がしつつ寝る準備を進めて行く。


 とはいっても、ドレスの下着でそのまま寝るだけの話なのだが。


「明日の出立は何時からですか?」と聞きながらサーコートと武器以外とベルトポーチ以外で不必要なモノを背嚢リュックの中に詰めていく作業が行われているだけである。


 全て詰め終わると一番上に冒険者用具類をしまい込み鎧もパーツごとに簡単にバラせるので冒険者用革ズボンとジャケットの上から詰め込んでいった。


 オープンヘルムはそのまま背嚢に括りつけた。


 武器は剣帯だけコルセットの上に付けその上で帯剣することにした。


 ベルトポーチは剣帯の上から装着しているものなので大丈夫なはずである。


 サーコートは羽織るだけなので大丈夫なはずであった。


 全ての道具類はしまい込んだしあとはボンサックを綺麗に折りたたむと一番上に詰め込んだ。


 ドレスは掛物にかけてあり直ぐに着用できる状態に持っていけるように準備が全て終わった。


 こちらの作業が終わるのを見計らっていたのか、丁度背嚢に表盾をかけて紐を結んだ頃合いで、『セリア』から声がかかった。


「明日は十時半出立だよ」と。


「てことは十時には準備が終わっておけばいいんですね」と返答をした。


「それくらいがベストかな?」という答えが『セリア』から返ってきた。


「では寝ますか」というと『セリア』さんからは、


“くーすぴー”という寝息が聞こえ始めた。


 すでに眠かったところをギリギリで起きていたらしい。


 私もベッドに入り寝る準備に入った。


 少し疲れていたのか私もすぐではないが、十分後には寝息を立てていた。


◆ 俺『ゲルハート』視点


 男性陣のほうも似たような運びとなった。


「まあゆっくりと船旅が楽しめるとは良い」といいながら『ウィーゼル』が装備を背嚢にしまい込んでいた。


 元々男性陣のほうが散らかって無かったので。


 直ぐに寝る準備に入れたのだった。


 上着とズボンだけ脱ぐと椅子にかけ固定した。


 武器は背に背負う俺と、手甲だけの簡易装備の『ウィーゼル』だけであるからして。


 そんなにパンパンに背嚢にものが入って無いので、余裕で鎧をバラシて入れることが可能だったわけではある。


 明日は普通の貴族として武器だけ背負って船に乗り込むつもりであった。


 チケットはすでに抑えてあった、話が終わった後、宿屋の夜売り場に行って調達していたのであった。


 一等船室ツイン隣部屋でチケット二枚であった。


 総額八ゴルトではあったが十ゴルトコインで支払ったため釣りが二ゴルト出て来ていた。


 それを受け取って。


 出航時刻やそのほかの情報を聞き、戻ってきたのであった。


 船着き場は宿の目の前とのことであったので十二時出航で十分間に合うはずである。


 船は四本マストの大型船とのことであった。


 船名も確認してある、サラトガ・マーメイディアという船だった。


 なのでここを出た後少し出航まで一時間は空く筈であった。


 十時半に出立とは聞いている。


 船が入港するのが、十一時半なのでピッタリ一時間空くのであった。


 船旅の時間は四日である船足の早い船であるとも聞いていた。


 だから心が躍ったともいう。


 特等はすでに埋まっていて取れなかったが、特等そのものは二室しか無いので計算外であった。


 そして男性陣もそんなに眼が冴えて眠れないなどといったことは無く。


 直ぐに眠りに付いた、チケットは俺自らが懐に内ポケットがあるのでそこに入れて寝たのであった。


 『ウィーゼル』は割と早く寝てしまっていた。


◆ 私『ウィオラ』視点


 一番に目が覚めたのは、実は私であったが、四時とあまりにも早すぎたため二度寝に入ったのであった。


◆ 私『セリア』視点


 次に起きたのが私であった八時には起きていた。


 二度寝をするにも時間が無かったため身の回りの整理をして荷物をきっちりと揃え片づけると三十分も経たないうちに荷造りは終了してしまった。


 元々軽装である上に少し大きめの旅行鞄を持っているだけなのだ。


 ピンポイントアーマー類は今日はドレスなので外して収納してあった。


 そして杖では無く、指輪発動組なので貴族ですと言っても通用しそうだった。


 そしてドレスをまとった。


 鏡で違和感がないかどうかだけ確認する。


 変な感覚は無かった。



◆ 私『ウィオラ』視点


 そして私が起きた時間は九時ジャストであった。


「おはようございます」と『セリア』に挨拶あいさつした。


 二度寝であったため、きっちりと起きていた。


「おはよう『ウィオラ』ちゃん」と返答が帰ってきた。


 ブレは無い、荷作りも全て済んでいるため。


 後は着替えるだけとなった。


 着替えるといっても直ぐ済むので五分と掛らなかった。


 装着品のほうに少し時間を喰われたが、それでも十五分とかからず全ての装備が完了した。


 背嚢は相変わらずパンパンに張ってはいるが、丈夫な作りであるためこの状態でも問題は無かった。


 装着品のせいで貴族の子女ではあるが、貴族に見えないのであった。


 そしてサーコートを羽織り、前で留めた。


 サーコートが背嚢のせいで少し後ろが盛あがっていた。


 違和感と言えばそれくらいである。


◆ 俺『ウィーゼル』視点


 男性陣の朝は早いほぼいつも通りに俺が六時に起床した。


 昨日の片付けの漏れが無いか確認し始めた。


 確認そのものは五分もあれば終わるものだった。


 服を着ていく、軽装スタイルの一市民か貴族といっても通用しそうななりだった。


 まあ背嚢を背負うので冒険者だなで済んでしまうわけだ。



 『ゲルハート』も六時半には起床した。


 チケットを確認すると直ぐに上着を羽織り、ズボンをはいた少々ラフだが貴族の兄弟と言っても差し支えは無さそうだった。


 だが、グレートソードを剣帯ごと背負って剣帯をカッチリと固定した。


 この時点で冒険者様ですよね? である。


 後はボンサックに荷物を全てほり込んで終了である。



第三章 第九節へ

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