ウィオラの旅日記 ～魔法剣士ウィオラは旅を通じて仲間と巡り合い、紆余曲折の冒険を経て成長する～

第六節：赤い悪魔

「確保！」と私が叫ぶ「ストライクラッシュ！」と叫びながら『ウィーゼル』が中央の奴に飛び掛かったが拳を止められてしまった。

「何ッ」と『ウィーゼル』がいった。

　次の瞬間反対の拳で殴り飛ばされた、『ウィーゼル』が一瞬飛ぶが体勢を立て直してギリギリ幌馬車に当らないところで着地する。

　しかし幌馬車ギリギリまで、飛ばされた力は本物であった。

　まだ黒い煙のような召喚の残滓（ざんし）が体各所に張り付いているため赤黒の縞模様になっていた。

　完全顕現（けんげん）では無くてもその力かと思わせる程に強い。

　しかし今日は仲間が四人以上見込めた。

　『ゲルハート』が無言で突っ込んだ。

　固まっている小悪魔の列を大振りで薙ぎ払う、その瞬間小悪魔十数匹が消し飛んだ。

「『ウィオラ』右列を頼む」と私に言った。

　そして次の瞬間さらに後ろから支援が入るソーサー！　

　敵対象は左列のゲルハートの前の小悪魔二グループ八匹ほどが一気に散った。

　『セリア』の魔法が炸裂し、さらに支援魔法が飛んだ。

　マジック・シールド！　と私たちと『セリア』自身に掛る。

　私が仕掛ける。

　再度跳躍し小悪魔の列に真上からソード・プレス！　又もや半径二メートル以内の悪魔が吹き飛んで残りは二十匹に満たなくなった。

「ハヤテ！」と『ウィーゼル』が自己術式を掛けた、その瞬間「ドゴォッ！」悪魔が唸（うな）った金縛りに近い何かが瞬間的に駆け抜ける。

　悪魔の方を向いてる者にしか、利かなかった様で『ウィーゼル』のみが「グガッ！」といった。

　次の瞬間珍しく『ゲルハート』が術を使ったスタン・インパルス！！　と小悪魔と悪魔がその瞬間固まった、確かにこの局面でのそれは有効な筈（はず）だったが悪魔は力なのか魔力なのかは解らないが無理矢理、術の法則を引きちぎった。

　その瞬間中央に黒い竜巻が出来あがる。「何ッ！」と『ゲルハート』が驚いた。

　次の瞬間『セリア』の補助術式「スロウ！！」が悪魔に決まった悪魔が発生させていた竜巻が掻（か）き消える。

　さらに『セリア』はこの時点で見えている味方全員に、補助術式シールド！　をかけた。

　さらに私は今度は軽く跳躍し範囲に『ゲルハート』を巻き込まない様に、ソード・プレス！　を放った。

　完全に小悪魔が消滅した、残るは悪魔のみか？　と思ったがとりあえず悪魔のみに集中する。

　先の黒い竜巻は残りかすを消去するためでもあったのか悪魔は真っ赤な鱗（うろこ）をビッシリと体に生やしていた。

　コイツは手ごわそうだと思った、長大な尻尾もあるので後ろから仕掛けても薙ぎ払われそうではあったが、『ウィーゼル』が叫ぶ「グオォォォッ！」気合で無理やり悪魔の術干渉を解こうということらしい。

　肩で息をついては居るが金縛りは解けたようだった、悪魔は今スロウの影響下にありかなり動きが鈍くなっていた『ゲルハート』が先に仕掛ける。

　ストライクパワーヒット！　といいながら悪魔の胴体を後方から前方に向かって薙ぎ払った。

　浅かったが、振り抜けていた。

　私の側詰まり悪魔の真後ろ側から見るとよく解った、『ゲルハート』の一撃が悪魔を後ろから凪斬った瞬間でもあった。

　悪魔から青い血が流れ出していた、右側五分の一から四分の一位は体に斬り込んだろうか、かなりの出血量である。

　流石に今の一撃が効いたのか悪魔が『ゲルハート』の方に向いてその瞬間「ドゴォッ！」と悪魔が唸った。

　金縛りかとも思ったが瞬間的に何かが飛んでくるのが、私には見えたのでインタラプトで割り込んでソニック・ブレードでその何かを斬り払う。

　斬撃でその術式が切れて消滅した。

　そのまま斬撃そのものは射程内にいる悪魔の右側面に向かって飛んでいく悪魔は丁度何かを呼び出そうと両手を前に持っていっていたため、ガラ空きの右側面に私のソニック・ブレードが突き刺さった。

　悪魔がさらに唸り声を大きくした青い出血量もかなり半端では無くなっているこちらからはどれくらい斬れたのか判らなかったが、五分の一くらいは斬れたらしい。

　悪魔が自らの剣を召喚した様だったが、横手から『セリア』のディスペル！　が割込みで入り剣が現世に干渉できなくなって現世側に出来掛けて居た仮の剣が砕け散る。

　今だと思い悪魔の側面に向かって連続攻撃を仕掛ける事にする全てにラッシュとストライクを乗せた上にソニック・ブレードを乗せる算段で一瞬で拭い戻し納刀する、そして瞬間に全ての技を居合と一緒に解き放った。

　全部で十二発のソニック・ブレードが赤い悪魔の右腰に吸い込まれて行きその瞬間悪魔がこの世のモノとは思えない叫び声をあげた、

“ぐぇがろぉぉぉっぃぅくいぇしぇぁぁぁぁふぁがいえ！！！”

　激しく出血している滝の様にとまでは行かないが悪魔の血液と思われる青い液体で右半分が染まっていた。

　こちらからは辛（かろ）うじて悪魔の腕から上に赤が、それより下はもう真っ青であった、こちらもかなり消耗したが悪魔にはもっと大きいダメージが入っていた。

　『ウィーゼル』が瞬間的に動いたホーリー・ウェポンを纏（まと）ってラッシュパワーヒット！！　と言う叫び声はこちらにも聞こえた『ウィーゼル』が悪魔に対して乱打を見舞うほぼ全弾顔面に横から炸裂した。

“ゴアァァァァァァァァァァァァッ”

　と激しく怒り狂った悪魔が『ウィーゼル』を殴ろうと方向転換したところに『ゲルハート』が「コレでも喰らえストライクパワーヒット！！！」と悪魔にとっては右側に当る右正面、悪魔、右後面に向かってさらなる薙ぎ払いをかけた。

　その瞬間最も恐ろしい響きに変わった。

“グルハガッオガヲウンプホサエオサカファケグッアアアアアアアアアー！！！”

　後ろから見ていてわかったが今度こそ致命傷に届いたようだった、ほぼ真ん中を薙ぎ払っており確実な致命傷を与えた筈だった、そこに『セリア』が「グラヴィティー・カノン四連射！！！」とぶっ放した。

　さらに「ディフェンス・ブレイク！　今の内よ！！！」と『セリア』が叫んだ。

第二章　第七節へ