最初の街オルノバ編
第15話 この木なんの木
夜が明け朝になり俺はベッドの上で目覚める。
「さて、朝の挨拶と共にここから旅立つのを神様に報告しないとな」
中央の部屋へ行き、朝の挨拶をする。
「おはようございます神様。そして報告があります」
「俺はここを出て街を探してみたいと思っています。旅立ちは明日を予定しています」
「一年間、ここでお世話になりましたが感謝の言葉しかありません。まあ、たまにはここに帰ってくるつもりなので…」
たまには里帰りしないとな。
ここは俺の第二の人生の故郷みたいなもんだ。
よし、神様には報告したし、あとは身の回りの整理と旅の準備だ。
まず、部屋の掃除をせっせとする。
薪の燃えカスの灰はどうしようか?
何かに使えるかもしれないから持っていくか。
一年間で集めた素材はアイテムボックスとマジックバッグに入れてある。
魔物の素材だけでなく、草やきのこ、燃料になりそうな倒木や枯れ枝、あと適当に拾い集めた鉱石など。
希少な金属は少なかったが、鉄や胴が含まれた鉱石、砂金なども採掘出来た。もし、街を見つけたら目立たないように少しずつ現金化するのもいいだろう。
装備は少々傷が付いても、付与された自動修復で元通りになるのでメンテナンスいらずだ。一応、クリーンの魔法をかけてるけどな。
旅立つ前に拠点周りを一回りして確認してこよう。そう思い立った俺は部屋を出て敷地の中を歩き出した。
裏側のトイレと解体小屋は敷地内に入れておくか。トイレは明日の朝の分があるので後回しだ。基礎とか作ってない置きっぱなしの小屋なので、解体小屋に持ち手を付けて持ち上げ拠点内の敷地に移動させる。
この一年間はひたすら強くなろうと頑張ってきた。拠点を中心に全方位周回しながら魔物を手あたり次第に倒していたからな。元の世界とは違う、スキルや魔法がある異世界で暮らしていくには何よりも強さが必要だと思ったからだ。どんなに正しいと思っていても力が足りないばかりに理不尽な力には屈したくはないしね。
建物の裏手に解体小屋を置く。なにげに敷地に一本だけ生えている木を見たら何といつの間にか実がたくさん成っていた。
花とか咲かないでこの木は一気に実が成るのか?
俺はこの木に花が咲いてるのを見た事がない。
枝にはカボスのような実がたわわに成っている。
試しに一つ取って鑑定してみた。
『鑑定結果』
〈品名:シントウの実〉
〈名前:神の加護が与えられた果実〉
〈効果:HP・MP回復〉
◆神の加護が与えられた果実。HPとMPを大きく回復させる効果がある。実は甘く皮ごと食べられる。絞ってジュースにしても効果は変わらない。鑑定してもHPとMPを大きく回復させる木の実としか表示されない。
もしかしたら、ここを旅立つ俺への神様からのプレゼントかな。
俺は感謝しながら木にたわわに実った果実をせっせと採りまくる。
しかし、かなりの量があるな。
千個くらいの果実を採り、アイテムボックスに次々と収納した。
こりゃさすがに街で売りに出せないよな。
俺が直接使用するか、もし信頼出来る仲間が出来たらその仲間に分けてあげよう。
何の変哲もない普通の木かと思って存在自体を忘れかけていたが、最後に驚きのプレゼントをくれるようなもの凄い木だったんだな。
そんなこんなで片付けや準備をしながら御飯を食べ、旅用に焼いた肉のストックを作り、風呂に入って寛ぎ、旅装の点検などをした後、俺はベッドで眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます