残るもの

フラワー

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 もう少し液体に近い夜なら、星が見えたはずだった。雲が揺れる水滴のように落ちているとき、鳥が唄いだす。混乱を抜ける大通りに逃れては、車が空へと消えてゆく不思議な踏切を、風が粉に変えてゆく。ビルの風化は遅いので、街灯は路頭に迷わず、崩れる道だけが深く落ち込んでしまう。忘れないうちに残しておいたガソリンの倉庫が、新しくできた谷からのガソリンと混ざっていた。そして安い車と燃料を手にした街路樹の家は、与えられた土では狭くなって、谷の底へと根を伸ばしている。幸せが消え去った街で、街路樹は富を得ていた。



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