バンクシーへの応援コメント
興味深い作品でした。
主人公が先生になった本当の理由は「本物に負けた」からでしょうけど、世間が本物の作品を見抜けなかったことに対する失望にすり替わっているんですよね。他の二人が敗北を認めた上で進むべき道を決めたことに比べると、一番ダメな方向に行ってしまったとも言えるわけです。後輩が褒めた「誠実さ」すら失っている。
この作品の結びは一見美しく見えますが、裏を返せば、自分の敗北を他人のせいにして誠実さを失った者が美術教師になってきれいごとを言っているだけでもある。そして、本物の実力に圧倒されたはずの自分達の作品を、本物に勝るとまで言い切ってしまう。初見の評価こそが主人公の心の中の「本当」の評価で、最後の評価は自己愛と思い出によるバイアスがかかっているのですが、どうもそのことに本人は気付いていない。
字面としてはものすごくきれいな終わり方をしているのに、よく読んだら醜悪という多重構造は見事だと思います。
……そしてまあ、カクヨムで作品を発表している作家への皮肉にもなっているという。
ミシュランの店と言われただけで美味く感じるのと、自己愛で自分の作品が良く見えるのは同じだから、いっそ両方とも肯定しておけば気楽なのですが、それができないのが人間というもの。
あと、読んでいていくつかタイプミスと思われる箇所を見つけたので、一応報告しておきます。
こういうのは報告して欲しくない作者もいるので迷ったのですが、もしかすると「お前ら、本当にちゃんと読んでるのかよ」と挑戦されているような気もしたので。深読みしすぎか。
ストリートアートとはか勝手に壁面に描くのだから犯罪だ。
(「か勝手に」の「か」が要らない)
きっかけは、「模写ばかりしてても意味がない。俺らの作品も作って描いてやろうぜ。」
雅也の言った言葉はだった。
(これは本来の文章の形が何通りかあるので、適切に)
だけど、僕らの彼らにどれだけの差があるのだろうか。僕らは、わからなかった。
(「僕らの彼らに」→「僕らと彼らに」)
認められていなかったがかなのか、ただ社会に不満があった画家なのか。
(「認められていなかったがかなのか」→「認められていなかった画家なのか」)
僕らの作品と同等と価値をしか見出されてないのか。
(「同等と価値をしか」→「同等の価値をしか」あるいは「同等の価値しか」)
あれだけ世界が注目しているバンクシーの作品なんだ。それなのに、何故批評される。
(これはタイプミスではないですし、前後の文脈から意味は分かりますが、「批評」には良く評価する批評もあるので違和感がありました。ここは「何故酷評される」などの方がいいように思います。
これは一見細かい言葉選びの問題に過ぎないですが、この作品では、主人公達は世間に「批評」すらされないから模倣を始めたわけなので、ここでの言葉選びは作品の主題にも関わると判断し、あえて指摘しておきます。最終的には作者次第ですが)
作者からの返信
コメントありがとうございます。
しっかりと読み込んでいただき、こんな素晴らしい感想をいただけて嬉しい限りです。
そういう風に読んでくれる人もいるのだなと思いました。感想というものに作者が口を出すのは、烏滸がましいものです。だが、このコメントは素晴らしいですね。有難いです。
指摘ありがたいです。あまり、読み直して投稿するという癖がないもので、ミスに気づかないままになっているものが多いので、助かります。
修正させていただきます。
お気に召しましたら、他の作品をば。
自信の無い作品も多いですが、あえて自信作と推すのならば、「偶像」という作品は面白いと思っております。
今回はかなり長いコメントありがとうございます。大変励みになります。
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今回は自主企画に参加していただきありがとうございます。
いやあ、何というか、久しぶりに本当に素晴らしい作品に出会えました。
誰しもが持ち合わせているはずの承認欲求を上手く絵画と絡めていて、すごく納得しながら読むことができました。
本当にいい作品でした。
ありがとうございます。
作者からの返信
素敵な感想まで、ありがとうございます。この話は、僕の伝えたかったことを詰め込んだ話です。
人は名声に流され、評価の目を曇らせる。そして、人は名声を求め続ける。そんな承認欲求と評価で手のひらを返す世の中、全てが壊れてしまえばいいと思っています。
本当に素敵な感想をありがとうございます。
厚かましいですが、僕のカクヨム処女作、「偶像」というお話は、この作品レベルに自信があり面白い作品です。お暇な時間があれば御一読お願い致します。
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髙木さま、自主企画ではお世話になりました。
薦めていただいた作品ではなく、こちらを先に読みに来てしまいました。すみません。
髙木さまは表現者の心情を描くのが、本当にお上手ですね。
私も自分の作品で爪痕を残したいものですが、とても無理です。
読んでくださった方に、10年後、「スエテナターのあの作品、よかったな」と思っていただけるようなものを書くのが目標なんですが、なかなかそんなすごい作品を書くこともできず……。
自分の作品に価値を見出したい私自身の渇望を、癒してくれる作品でした。
ありがとうございました。
作者からの返信
僕の作品を二度も見てくださりありがとうございます。
表現者は皆似たところがあると思っています。だから、描きやすいのかもしれないですね。
きっと、全員とは言わずともこんな作品あったなと思われます。どの作品にもきっと、そういった未来があるものです。
なんて、上からでした。申し訳ありません。
少しでも支えになれましたら、幸せです。
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この作品もすごく好き。
芸術に関わる者として知っておきたい事柄ですね。