幼馴染は未来の旦那様

春秋 好

幼馴染は未来の旦那様

「何となく目星めぼしはついているので、探しに行ってきます」


 心配する柚葉ゆずはの母を家に残し、しょうが向かったのは近くの公園だった。山型の滑り台が設置されており、中央はくり抜かれてカラフルな土管が埋め込まれている。


「そこ狭いでしょ。帰るよ」


 覗き込んだ土管の中で、柚葉が膝を抱えて座っていた。


「何で留学すること教えてくれなかったの?」

「だから今日、伝えにきたんだろ。2年なんてあっという間だよ?」

「大学に入ってから音沙汰無しだったのに、いきなり留学します、出発は明後日です、って何か納得いかない」

「いつ伝えようが、出発日は変わらないでしょ」


 翔が笑って手を差し伸べると、柚葉は重い腰を上げた。


「……自分がよく分からないの。幼馴染の翔が遠くに行っちゃうって思ったら、すごく悲しくなっちゃった」

「俺さ、どうしても柚葉の笑顔を見たかったから、無理やり時間作って会いにきたんだ。1年ぶりぐらいでしょ?」


 柚葉は、つないでいた手をギュと握り返した。


「離れるのが悲しいって、特別だと思ってくれてるってことかな?」

「……そう……かも」


 翔は、立ち止まるとポケットから指輪を取り出した。


「待っててくれる?」


 満面の笑みで柚葉は、翔を抱きしめた。

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幼馴染は未来の旦那様 春秋 好 @kou007

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