馴れ初めは
勝利だギューちゃん
第1話
僕を見ている人はいない。
他の誰かを見ていて、その延長線上に僕がいたか、
それとも、他の誰かを見ていて、たまたまその途中に僕がいたか・・・
その、どちらかだ。
僕に気に止める人はいない。
そう、普段は・・・
でも、面倒事だけを押し付けてきたり、何かすれば攻撃的な馬頭を浴びせてくる。
誰も助けてくれない。
相談しても、他の人は話し合うのに、僕に対しては、完全に相手にしない。
「自分の身は自分で守れ」
良くてもそれだ・・・
なら、自分の身を守るためには、その相手を殺してもいいのか?
最近は、そればかり考える。
奇麗事抜かしても、世の中は理不尽。
誰かが偽背になることで、丸く収まっているのだ。
でも、僕に人を殺める事は出来るはずもなく、泣き寝入りしかできない。
被害を最小限に押せるにはそれしかない。
それが、最善策なのだ。
そして、孤立する。
自らそれを、選んだ。
日本人は、同調圧力が強い。
周りが僕を、いじめれば、それが正しいと思う。
そうしておけば、自分は安全だからだ。
誰も信じない。
信じて欲しくもない。
しかし、世の中には得てして物好きな人もいるもので・・・
「伊勢くん、カラオケいかない?」
クラスの女の子が声をかけてきた。
「みんなで行くんだけど、伊勢くんもどうかなって・・・」
「人数合わせ?」
「違うよ。純粋に楽しんでいるんだ。あの子たちも行くよ」
彼女の視線の先には、数人の男女がいる。
彼女とは、いつもつるんでるな。
グループ交際か・・・
「ねえ。行こうよ。私が奢るから」
断ろうと思ったが、ここで断れば、また面倒。
一回行って、自分をさらしておけば、もう誘われない。
僕は、その提案を飲んだ。
彼女の名は、他のメンツのおかげで、思い出せた。
佐久良楓
そういえば、委員長だったな。
忘れてた・・・
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