第63話
すみません昨日寝落ちしてしまいましたごめんなさい!!
……ぁ、あと、その、実は以前からちょっとずつ修正していたのですが、ステータスについて少し変更を加えました。
簡単に言うと、今まではパラメータの項目が『生命力・魔力・筋力・体力・敏捷・魔法力』だったのですが、このうち『魔力』と『魔法力』を抜きました。
なんというか……魔力量をレベルアップで大幅に増やしてくと魔法打ち放題になってしまう未来が見えてしまったのですよね(今もそうですが)
取り敢えずそこの所修正加えましたこと、ご了承ください。
そしてそんなお話をするからには、今回ステータス出ます。
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レベル65というのは、先も述べたようにこの階層では下限と言っても良い。この街に来た当初であれば……いや、一週間ほど前の時ですら強敵と捉えていただろうが、今となっては魔法無しの純粋な近接戦闘でも余裕で戦える。
突き刺した剣を抜いて歩いた瞬間、ふと体が軽くなった感覚に襲われた俺は丁度レベルアップのタイミングだったかと自身のステータスを[鑑定]で脳裏に刻む。
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名前:夜栄 刀哉
性別:男
年齢:17
種族:異世界人
レベル:52
《パラメータ》
【生命力】1,032,200
【筋力】100,300
【体力】106,150
【敏捷】112,400
《スキル》
️■武器術
[剣術Lv.8][槍術Lv.1]
■戦闘技能
[足運びLv.7][体術Lv.4][歩法Lv.2]
[先読みLv.9][回避Lv.9][格闘Lv.4]
[掌底Lv.2][蹴撃Lv.2][片手持ちLv.7]
[両手持ちLv.3][剣防御Lv.6]
[受け流しLv.6][峰打ちLv.1]
[気配察知Lv.8][気配遮断Lv.8]
[危険察知Lv.3][罠探知Lv.2]
■属性魔法
[火魔法Lv.5][水魔法Lv.4][風魔法Lv.4]
[土魔法Lv.4][氷魔法Lv.8][雷魔法Lv.4]
[光魔法Lv.3][闇魔法Lv.3][回復魔法Lv.4]
[時空魔法Lv.7]
■魔法技能
[魔力感知Lv.8][魔力操作Lv.9][魔力隠蔽Lv.6]
[地形探知Lv.3][高速詠唱Lv.3][詠唱破棄Lv.7]
[無詠唱Lv.8][無音詠唱Lv.4][座標取得Lv.3]
■強化
[精神耐性Lv.3][トラウマ耐性Lv.-1]
[痛覚耐性Lv.4][気絶耐性Lv.3]
[麻痺耐性Lv.1][毒耐性Lv.1]
[睡眠欲制御Lv.6][性欲制御Lv.-5]
[瞬間記憶Lv.8]
■一般
[観察眼Lv.9][偽表情Lv.8][徒歩Lv.6]
[疾走Lv.5][悪路走破Lv.2][方向把握Lv.3]
[速読Lv.5][威圧Lv.2][高速思考Lv.9]
[連想Lv.8]
■ユニークスキル
[成長速度上昇][完全記憶]
[神童][鑑定][偽装]
《能力》
【輪廻転生Lv.1】
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気がつけばレベルは52に達していた。この階層の魔物がレベル65から70ということを考えれば低いが、勇者のパラメータは常人とはかけ離れている。
この国に来た当初がレベル11程度だったことを考えれば、約二週間程で41レベルも上がったことになる。既に初心者や新米の域は出て、中堅と呼ぶことも可能な範囲だ。いや、実際のステータスを考慮するなら中堅の中でも上位に位置していると言っても良いはず。
【筋力】や【体力】といったパラメータ項目はおよそ初期の百倍。無論、実際の筋力が召喚当時と比べ百倍になった訳では無いが、かなり強くなっているのは間違いないだろう。
少なくとも同レベルどころか、二、三十程度レベルが離れていたとしても純粋な能力だけで勝てる程には。
スキルも新しいものこそあまり無いが、スキルレベルは上がっている。特に技術系統のものに関しては最高効率で成長していると言っても良く、こちらはわざわざステータスを見ずとも実感できるほどに上達している。
「一部は逆の方向に成長してるけどな……」
引き抜いた剣を、今度はそれぞれの体節に突き刺しながら魔石を確認していき、五節目にあったそれを上手く剣で掬いあげる。
カンと音を鳴らして宙を舞った魔石を水魔法で一度洗い流してからキャッチし、収納。そのまま素手で掴めばクリネオスの体液の餌食になってしまう可能性があるため、わざわざこういう工程を挟む必要がある。
その際に一緒に剣も水の中を通し、水球を斬るように振り切った。魔法の補助を失った水はそのままクリネオスの死体に降り注ぎ、触れたそばから消えて行く。
もうこいつに用はない。振り返れば、戦闘を終えたと察したルリがこちらにやってくる所だった。
「……ん、怖かった。ありがと」
「怖がりもせずに言われてもな」
生理的嫌悪感以上のものを特に抱いていなかったのは明白だが、ルリは怖かったということにして俺の腕に抱きついてくる。
ぎゅっと……ローブは押さえつけられ、腕に当たる感触はルリの体の形を強調し伝える。
鼓動を早めるような衝動に襲われて、胸が苦しくなる。切なさではなく、耐えることへの辛さだろうか。
普段ならば、迷宮の中では緊張や警戒に意識を割くことで劣情を無いものにできるはずなのだが、しかし今は何故かそれが難しい。
いや、何故かとは言ったものの答えは単純だ。要するに逸らしようがないほどに俺は溜まってしまっているのだろうと。
「ルリ、少しペースを上げようか。今日中にこの階層を攻略しておきたい」
ただそれを素直にルリに見せることは出来なくて、最もらしいことを言って歩き出す。
流石にこういった危険性のある場所でも欲に駆られてしまうのは、完全に支障があると言ってもいい状態だ。元々そろそろ解決する気ではいたが、これは今夜にでも一度解消しておいた方が良さそうだ。
◆◇◆
迷宮の中では生態系と呼べるほどのものは存在せず、ほとんどの魔物はゲームの敵キャラのようにただ配置されているだけだ。
要するに、本来ならば生物が生きるために食料や水源があり、寝床や住処があるはずが、迷宮内においてはそういったことは何一つ考慮されていないように見える。
例えばここは草原区だが、第一階層のような迷路区は特に顕著だろう。当然あんな石畳の通路に食料があるはずもなく、ゴブリン達も生きてはいけない。探索に来ている人達を殺して食ったとしても到底間に合わせられないはずだ。
そこから考えられるに、迷宮内の魔物は恐らくだが普通の生物とはまた異なっているのだろう。食事を必要としないか、もしくは例え餓死したとしても直ぐに替えが効くのか。少なくとも後者に関しては未だ魔物が狩り尽くされていないことからも容易に想像はできる。
そういった部分があるからか、異なる魔物が同じ領域にいても喧嘩になることはなく、それ故に全く違う種類の魔物と同時に接敵することもある。
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種族名:クリネオス
性別:メス
レベル:68
《パラメータ》
・
・
・
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種族名:アラクニド
性別:オス
レベル:66
《パラメータ》
・
・
・
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クリネオスは先程も戦ったムカデ型の魔物だが、対してもう一体のアラクニドは、名称の通り何となく蜘蛛に近い形をしていた。
とはいっても蜘蛛の脚が通常は八本あるのに比べ、こちらは優にその倍以上はあるので名前とは裏腹に蜘蛛ではないのかもしれない。
そもそも蜘蛛で言う前体や後体といった違いがなく、体は円形で底から無数に脚が生えている。故に、蜘蛛のようなもの。
正直に言えば、例えるなら生物の中では蜘蛛が一番近いものの、蜘蛛かと言われると首を傾げざるを得ない見た目だ。
大きさはクリネオスにも引けを取らず、体の高さに至っては俺の身長を超えている。相手が何もしなければ、脚で持ち上げられた体の下を歩いて通ることも出来るだろう。
まぁ現実では複数の脚が絶え間なく動いているため、迂闊に通ろうとすればその脚で体を串刺しにされるか、良くて吹き飛ぶ結果に終わる。
本当に、虫ばかりで嫌になるエリアだ。見た目的にも性能的にも。
このまま正々堂々剣で挑んでもいいが、やはりこんな場所はさっさと抜けてしまうに限る。
「ルリ、同時に行けるか?」
「……行ける」
先程は嫌がったルリだが、俺が言えばすんなりと頷き戦闘へ参加する姿勢を見せた。当然ルリが出るのだから、この戦闘に掛かる時間はこの時点で限りなく短くなっている。
短くなると予想されるのではなく、短くなると
よって、俺もそれに合わせるしかない。同時に行けるかと聞いたが、実際のところは俺の方が問題だ。
純粋な身体能力と近接戦闘技術だけではこの魔物達を瞬殺することは難しい。それでも一分とはいえそれも、経たずに撃破できるだろうが、逆に言えばそれまで。
だから───そっと、俺は魔力を解放する。
「……」
去り際、ルリが微かに笑ってクリネオスの方へと瞬時に駆け出した。
それが始まりの合図であり、そして同時に魔物にとっては終わりの合図でもある。
俺の事を踏み潰す勢いで数多の脚を動かし近づいてくるアラクニド。正面からまともに挑むなら、上手く脚を攻撃して動きを鈍らせて胴体を狙うが、魔法ならそんな手間もかからない。
本来は魔力に限界がある以上、魔法の使用は最低限にすべきなのが普通だ。特に今回は、この後に
それでも、時にはスカッと爽快かつ豪快に敵を倒すことも必要なのだ。
主にストレス解消の為に。
「……『
魔法名を呟きながら俺は、魔力を流す。
俺の正面の地面はその瞬間、瞬きすら許さぬ速度で瞬時に凍結する。それはそのまま通路のように一直線に伸び、対面にいたアラクニド諸共白銀で染め上げた。
グッと、目前に突き出した手をゆっくりと握り込んでいく。
次いで氷の茨が凍らせた地面の上を埋めつくし、範囲内にあったアラクニドもまた抵抗の余地なく締め上げ凍らせる。
パキパキと音を鳴らしながらアラクニドの脚を、体を、容赦なく凍らせながら折り続け、圧壊する体からは体液の一滴すら零れることを許さない。
やがて俺の手が完全に閉じ切ると、最後に氷の茨はアラクニドの体を一気に粉砕するようにバキッと一際大きな音を立てて自らを丸め込む。
魔法は解除され、氷の破片が次々と地面に降り注いだ。そこにはそれが生き物であったことを示す血液も体液も、肉片すらも残ってはいない。
あるのはただ、氷に閉じ込められた、アラクニドだったものだけだ。
「……こんなもんか」
久しぶりの上級魔法に、俺は少し息を吐いた。著しい魔力の消耗は、現在の魔力量に関わらず精神的疲労が襲ってくるものだ。
しかし、にしても中級魔法とは一線を画している。魔法の規模は術者の技量にもよるが、純粋に高い難易度の魔法ほど大規模なものとなる。
『
同じ上級魔法だと『
何れにせよ、中級魔法までは単なる攻撃手段の一つなのに対し、上級魔法は奥の手とまではいかないが、必殺技に近い分類のものだろう。
俺があまり使わないのは、それだけで戦闘が終了してしまうのはつまらないという側面もある。無論、使う時は一切惜しむ気は無いが。
「でも、これでもまだ遅いか」
対してルリだが、傍目で見ていた限りではクリネオスを正面から一振で両断していた。それはもう、全長五メートルに及ぶクリネオスを頭から尾までバッサリと真っ二つに。
相変わらず攻撃範囲が化け物だ。ルリの前では魔物も五秒ともたない。
既に魔物もかなり強くなってきている。俺が勇者だからサクサクと進んでいるが、俺と同じレベルになるために果たして他の人はどれだけ時間がかかることか。
ルリの強さが常人とは桁が違うことは理解している。問題は、一体何故それほどの強さを持っているのか。
そろそろルリの経歴が本気で気になってくる頃だが……俺は片手を上げてルリを労う。
「お疲れ様」
「……全然」
疲れてない、という意図の言葉に苦笑い。そうだな、ルリにとっては準備運動にもならないか。特別な一戦でもないのだから。
ただルリは俺に頭を突き出す。その動作に頭を撫でろと要求されているのだと理解した俺は、よしよしとその綺麗な髪を撫でる。
ルリの艶のある黒髪は、この世界では珍しいもの。だが確かにルリにはよく似合っているのだ。
触り心地の良いそれを撫でて撫でて、ルリはご満悦。俺も満足だ。
だから、そう───だから、そのままルリがいつになく積極的に体を密着させるのは過剰なのである。
普段迷宮の中では、ルリもそこまでスキンシップは取らない。精々が先程のような撫でるのを要求してくるぐらいで、それ以上の、例えば抱きつくなんて言うのは迷宮内においては過剰だ。
「どうした?」
「……別、に」
至って冷静な態度を保ちながら聞けば、ルリはそんなことを言う。もちろん別になんて、そんなはずがないのでそこから察するにこれは意図的なことなのだろう。
少し体を擦り付けて、それがまた最近では当たり前のようになってきている劣情を誘う。しかし珍しいことに、ルリはすんなりと止めた。
「……ん、行こ」
流石にこれの意図は読めない。普段なら明らかにこちらを誘ってくるか、単なる愛情表現かのどちらかなのだが、今のこれは中途半端。
愛情表現と言うには性的なところを意識しているはずなのに、誘うかと思いきやすぐに引いてしまう。
それがなんというか……もどかしい。
「……あぁ、そうだな。さっさと倒して帰ろう」
表面上は平静を装うつもりが、少し表情が固まってしまうのは避けられなかった。
どういうつもりなのか聞きたいが、ここで聞いて変な回答が返ってきたら、完全に足を止めてしまう未来が見える。
あくまで今は迷宮探索が優先だ。そこを間違えてはいけない。
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次回は明明後日辺り!!
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