第16話
申し訳ない!! どうも不具合で投稿出来てなかったみたいで……とりあえず投稿です。
一応次回は明日となっていますのでよろしくお願いします。ホント申し訳ない……。
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戦闘内容に納得いかなくとも、戦闘自体に問題は無いことが分かったのは僥倖だ。
「……魔石、取らない?」
「ん、あぁそっか、魔石があるんだったか」
と、普段のように死体を放置してしまいそうになるが、ルリが魔石について言及したことで思い出す。
魔物には魔石という部位がある───要は心臓に近いものだ。
もちろん、大抵の魔物の場合心臓は別にある。例えばこのゴブリンも人間と同じ位置辺りに少し歪な形をした心臓が存在しているはずだ。
しかしそれ以上に魔石と呼ばれるものも重要だ。というより魔物においての価値はほぼほぼ魔石にあると言ってもいい。
人間からしてみれば家畜の生み出す畜産物のような、そんなものだ。
そして純度が高く大きな魔石程、より複雑で強力な
もちろんそういった生産職ではない冒険者、探索者には不要なものであるため、関係ないと思うかもしれないが、言わば魔物の討伐証明として魔石をギルドに納品することで報酬金が得られる仕組みらしい。
らしいというのは、これらは俺が調べた知識ではなく、ルリから聞いた話であるからだ。
旅の途中でサラッと聞いた程度だったため、スルーしてしまいそうになったが。
ブルーゴブリンの体に剣を差し込んで、魔石の位置を探り当てる。肉の感触とは明らかに違う、石にでも触れたような硬さが伝わってくるので、後はそれを掬いあげればいい。
戦闘を経て、随分と肉の感触にも慣れたものだ。
「これで良いいんだっけか?」
「……そう」
体の中にあるというのに、特に血などで汚れた形跡もなく、取り出した際に肉の破片がつくこともなく綺麗な状態のそれを見せれば、ルリは頷いた。
見た目は中心が微かに光る紫色で、外側にいくにつれ黒くなっていく、やや歪な楕円形の数センチ程度の鉱石だ。いや、宝石と言ってもいいのかもしれない。
それらを五体分取り出して、アイテムバッグへ。衣類や携帯食も入っているそこに入れるのは衛生的にどうなのだろうと思わなくはないが、他に入れるものもなかったため仕方がない。
次からは別途袋的なものを用意するとしよう。
それからは、更に迷宮の奥へと進んだ。とはいっても、進むと言うよりは徘徊と言ってもいいのかもしれないが。
元々お試し気分だったので、そう先へと向かうつもりは無い。
ただ、ルリも着いてきているだけだと苦痛だろうということで、新たな魔物を探しているところなのだ。
本人に聞けばそんなことはないと答えそうだが。
「ルリ、わがままを言わせてもらうと、どうにか加減を頼む」
「……ん」
短めな返事による了承。通路の先からはブルーゴブリン五体と、それらよりも少し背の高い緑色のゴブリン───ゴブリンメイジ三体が向かってきていた。
ゴブリンは基本群れて行動するので、その数合計で八体とかなり多い。しかし苦戦することを微塵も想定していない俺としては、予めルリにそうお願いしておく必要があった。
以前渡した剣を持ったルリは、本能に任せるように飛び出す。それに続くように俺も駆け出していく。
『グギャッ!!』
向こうもこちらを視界に収めていたため、今回は不意打ちではない。まず奥の方にいたゴブリンメイジが声を上げ、それと共に三体同時に一定のリズムで何かを口ずさむ。
アレがゴブリンの詠唱なのだろう。内容は分からないが、魔力や仕草から魔法を練っていることは簡単に推測できる。
ブルーゴブリンを倒している最中に使われそうだなと思っていれば、そんな心配は無意味と、その頃にはルリが既に剣を振り抜いてしまっていた。
『ギ───』
「……ふぅ」
前衛役のブルーゴブリンが、その微かな声のみを残した。ルリの剣の刃渡りはルリ自身の魔法によって体格に合わせ小さくなっているため、到底横並びになった五体を同時に倒す程の長さなどあるはずもない。
にも関わらず、一振で五体同時に首がスパンと飛んだ。見た目通りの青色の血液が噴出する中、それを避けるように、息をつきながら数歩ルリは後退する。
果たしてどんな手法を使ったのだろうかと引き攣った笑みを浮かべる俺は、ルリと入れ替わりで前に出た。
たった一手でルリは自身の役割を終えたというわけだ。流石に残りは俺がやらなきゃならないだろう。
『───ギャッ!』
一瞬の光景に、理解できなかった故に行動が止まらなかったのか、ゴブリンメイジはどこか動揺したような様子を残しながらも魔法を発動し終えていた。三体から放たれる魔法はどれも同一のもので、それは石の槍。『
驚くべきは、ゴブリンが作ったとは思えないほどに綺麗な造形という部分だろう。それは石という部分を除けば本物の槍と見間違えるほどに滑らかな輪郭を描きかつ、先端は刃物のように鋭利で、たかがゴブリンの魔法と侮っていた思考が一瞬で無くなる。
───しかし、それはそれ。造形がどうであれ、魔法がもたらす効果は単に槍を放っただけに過ぎない。
真っ直ぐ向かってくるそれを回避することは難しくなく、ご丁寧にどれもタイミングも一緒。
大きくその場から跳躍して攻撃を避け、その勢いのまま、ゴブリンメイジ達の背後へと降り立った。
振り向きざまに、真ん中のゴブリンメイジの首を刎ねる。
剣を振り切る前に体だけ先に動かして、今度は右側。ゴブリンメイジは俺に向けて腕を伸ばしたが、その腕を、引き戻した剣で斬り落とした。
地面へ接触する直前、はね上げるように剣の向かう方向を変え、ゴブリンメイジの脇腹から胸を大きく斬り裂く。
同時に、俺の背後に土壁を出現させれば、その向こう側で炎の熱が一気に広がる。それは最後のゴブリンメイジが放った『
端目でルリを確認し、問題ないことを把握。
炎が収まるのを見計らってこちらも『
斬れ味に俺の膂力が乗った剣は容易にゴブリンメイジの体を背中まで貫通し、引き抜く際に更に傷を抉る。
ゴブリンメイジは三体とも地面へと倒れ伏す。
「───これで終わり、だな」
全て倒し終わったことを確認して呟く。八体の混成ゴブリンパーティーを相手に、二人とはいえかかった時間は30秒程度。
まぁそのうち前衛五体をルリが瞬殺したわけで、俺一人ならば一分はかかっていたはずだが。
けれど、ルリは十分感心したようにこちらを見ていた。
「……レベル11、の、動きじゃないよ……?」
「ルリが先に倒してくれたからな、ゴブリンメイジに専念できた。それがなかったらあんな風にはできないと思う」
「……そう、だとしても、十分……スピードも、そうだけど……運動神経、みたいなところ? が、凄い、気がする。レベルやスキル、だけ、じゃ、身に付か、ない」
褒めてくれるルリに「ありがとう」と頷きながら、魔石取りの作業。確かにレベルというシステムは、能力を底上げしても体の動かし方を鍛えてくれるものではない。
スキルには身体操作を補助してくれるスキルもあるだろうが、スキルのレベルアップ条件がどうなっているのか分からない以上、ただ反復していればいいとはいかない可能性もある。
ただ、地球の頃より技術の習得が楽なのは確かだ。それを比較できるのは地球出身の勇者だけというのはあるが。
ブルーゴブリンのものよりどことなく角ばっているゴブリンメイジの魔石を取り終え、剣をしまう。
そうして動こうとしたところで、おっと俺は違和感に気がついた。
どうやらさっきのでレベルが上がったらしい。また身体能力が向上した感じがする。俺の動きにルリも気づいて見てくるが、少し待ってくれとジェスチャーし、その場で数度ジャンプと足踏み。
最も変化が激しいのは筋力的な部分で、特に走るという動作は顕著だ。握力は力を込めなければ何も支障はないが、走ることに関しては自分の速力を把握しておかないと普通の走りでも足を踏み外す。
踏み込みの力もそうだが、足の回転にも変化があるので、転びそうになってしまうのだ。
「レベルアップはここだけ厄介なんだが……よし、オッケーだ」
「……レベル、12?」
「あぁ、それになったところ───んっ!?」
一応ステータスを[鑑定]で見てみるが、その内容を把握しているうちにまたちょっと誰にでもないのだが物申したいことが。
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名前:夜栄 刀哉
性別:男
年齢:17
種族:異世界人
レベル:12
《パラメータ》
【生命力】85600
【魔力】114120
【筋力】8000
【体力】9130
【敏捷】9700
【魔法力】10840
《スキル》
️■武器術
[剣術Lv.7][槍術Lv.1]
■戦闘技能
[足運びLv.7][先読みLv.7][回避Lv.7]
[格闘Lv.3][片手持ちLv.6][両手持ちLv.2]
[剣防御Lv.6][受け流しLv.7][峰打ちLv.1]
[気配察知Lv.7][気配遮断Lv.6]
■属性魔法
[火魔法Lv.4][水魔法Lv.4][風魔法Lv.3]
[土魔法Lv.5][氷魔法Lv.6][雷魔法Lv.4]
[光魔法Lv.3][闇魔法Lv.3][回復魔法Lv.4]
[時空魔法Lv.5]
■魔法技能
[魔力感知Lv.7][魔力操作Lv.7][魔力隠蔽Lv.5]
[地形探知Lv.3][高速詠唱Lv.2][詠唱破棄Lv.6]
[無詠唱Lv.6][無音詠唱Lv.5]
■強化
[精神耐性Lv.4][トラウマ耐性Lv.3]
[痛覚耐性Lv.1][気絶耐性Lv.1]
[睡眠欲制御Lv.4][性欲制御Lv.-2]
[瞬間記憶Lv.7]
■一般
[観察眼Lv.8][偽表情Lv.8][徒歩Lv.4]
[疾走Lv.3][悪路走破Lv.2][跳躍Lv.2]
[速読Lv.5][高速思考Lv.7][連想Lv.7]
■ユニークスキル
[成長速度上昇][完全記憶]
[神童][鑑定][偽装]
《能力》
【輪廻転生Lv.1】
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「……どう、したの?」
「別に、いや別に」
まぁ、全体的に多少はスキルのレベルも上がっているのだが、一つ上がらなくてもいいスキルまで上がっているな。
[性欲制御]お前……もうそういう名前じゃなくて性欲覚醒とかにしたらどうだ?
……いや、普通に自虐になってしまう。一瞬強そうとか思った俺は恐らく末期なのだろう。
普通に考えて、このスキルのレベルにマイナスが加算されているのはヤバい。性欲が制御出来なくなっていくのだろうか。
というか、そもそもこんなスキルある方がおかしい。いやマイナスレベルが存在すること自体おかしい。
もしや他のスキルも、何らかの要因でマイナスになってしまうのか。マイナスと付いているからには、負の方向への働きかけと考えていいはずだ。
これからは満遍なく、各スキルに適応した行為を行った方がいいのかもしれない。一番有り得そうなのは技術的な鈍りだろうし。
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