見出された運命の先に

イミティ

第1章 勇者召喚

第1話

 記念すべき第1話目です。既に前の方で読んでいた方はお帰りなさい。

 素人学生作者故に、色々と拙いところもあるかと思いますが、気軽に見てってください。


 あ、一応注意事項載せときますね~


 ・素人学生作者

 ・過去にエロ過ぎるお話を書いてカクヨム様から削除を言い渡されたことがある作者()

 ・読者曰く少し特徴的な文章を書く作者


 これらが許せる方は、どぞ。


──────────────────────────────


 いつものように朝起きて、いつものようにご飯を食べて、いつものように学校に行き、いつものように授業を受ける。

 そんないつも通りの何の変哲もない今日だが、そんな日でも異変というものは起こる。


 それは、俺がいつものように帰りの準備をしている時のことだ。


 「ん?」

 

 持ち物を入れるため鞄に目を向け、再び顔を上げる。

 たったそれだけ。数秒とかからない、たったそれだけの動作のうちに俺が立っているのは教室ではなくなっていた。


 「………うん?」


 唖然とした声が漏れる。目を擦って、頭を振ってみて、頬を抓ってみても見慣れた景色には一向に戻らなかった。


 仕方なく視界に写ったその場所を確認してみるが、まずとにかく広い。体育館が3個くらい入りそうな広さの、聖堂のような、大理石のようなもので出来たほぼ白一色の場所だった。

 聖堂なんてものを実際に見たことはないのでイメージでしか無かったが、小説とか読んでる時に頭に浮かんでくるのはまさにこんな感じだろう。


 厳かな雰囲気。神秘的な光景。そう言えば聞こえはいいが、何故ここにいるかハッキリしない現状では不気味さも感じた。


 そして、ここに居るのは俺だけではない。

 辺りを見渡せば教室に残っていたクラスメイトもまた、その時の位置関係のまま、困惑した状態で立っていた。一方で同じように教室にまだ残っていたはずの先生は、居ない。見事に生徒だけがここにいる状態。


 皆が俺と同時に来た〃〃ならまだ1分も経っていないはずで、大半の者は呆然と、何が起きたか理解できないでいる。俺も鞄に目を向けた一瞬のうちにいつの間にか知らん場所にいるなんて、現状を受け入れることが出来ない。


 けれど、受け入れるしかない……のだろう。うん。分からないと困惑していてもみっともないのは事実だし、現実として俺達はその一瞬でこんな場所に移動していた。


 脳裏を過ぎるのは、様々な可能性。俺が夢を見ている可能性もあるが、それはむしろ問題ないとして排除できる。夢ならそのうち覚めるからだ。


 ───ただ、少なくとも楽観視していい状況ではないと思う。


 俺は、皆の外側に目を向ける。俺たちを囲むように、鎧に身を包んだ者が直立不動で待機しており、正面には宝石が多く付けられた服を着た中年の男と、この中では最も幼いと思われる、俺達より三つか四つ下ぐらいの可憐な少女。

 現代日本ではそんなファッションもなければ、そもそも彼らの顔は日系人とは異なっていた。


 要約、いつの間にか知らない場所に連れとこられ、よく分からない人種の人達に囲まれて、明らかにヤバそう。


 そこまで自分でも驚くような速度で状況を確認した俺は、その状況から辛うじて導き出せる、幾つかの可能性を考えてみる。

 

 一つ目はこれがテレビ番組のドッキリで、みんなが何やかんやと反応を示した後「ドッキリでした!」なんてスタッフさんにネタばかしされる可能性。変な行動を起こしたら、後でそいつは笑いを取ることとなるだろう。

 もしテレビのドッキリを疑うようなことがあるのなら、余程の目立ちたがり屋でない限り周囲と同じようなこと、もしくは目立たないようにするのをオススメする。

 これが一番平和的な可能性だ。


 二つ目は、どこかのオカルト宗教に何らかの方法でみんな拉致された可能性。

 キリスト教などのメジャー宗教でなければ、きっと怪しい団体だろう。生贄として連れてこられたのか何なのかまでは推測など出来ないが、何にせよ危険な香りはする。


 そして三つ目───学校にいた者で、俺の学年が異世界、もしくは似たような感じで、どこかに召喚〃〃された可能性。


 ……こう言ってはなんだが、俺は正直言って、普通ならありえないと一蹴するような三つ目がむしろ一番可能性が高いと思っている。


 まず、一つ目と二つ目はそもそも不可能に近い。なぜなら俺たちを一瞬で移動させる方法が無いからだ。

 もしかしたらテレポーターなんてものが密かに開発されていたのかもしれないが、それならそれで大問題であるし。


 意識を失っていたわけでもなく、鞄に目を向けていた一瞬の間に移動をさせるには少なくとも現代の技術じゃ無理だろう。


 それを考えると消去法により、一番非現実的な三つ目の可能性が高くなってくるのだ。魔法だろうが神様の力だろうが何でもいい。結局そんな非現実的な方法を許容するなら、それこそ鎧なんていう時代錯誤な防具に、宝石で自らの財力をアピールするような価値観をもつ人達に囲まれている現状を説明できない。

 あぁ、それならタイムスリップも一応選択肢としては入るか。


 とはいえ俺が他のことに考え至っていないという可能性もある。だが現状の非現実的な事象を判断できる材料として俺の記憶にあるのは、そういったラノベ的知識だ。


 と考え込んでいると、宝石をつけた少女に動きがある。


 「皆様、落ち着いてください」


 その声は凛と響く声で、そこまで大きい声ではないのに、この広さの中全員にしっかりと届いた。


 「私はこのルサイア神聖国の王女である、クリス・フォン・ルサイアという者です」


 ……王女だったよ。


 ということは、その隣にいる中年の男は王様だろうか。王妃と思わしき人物は見えないが、この際重要なのはそこではない。


 神聖国〃〃〃───今どきそんな名称を使う国など、地球には存在していないはずだ。

 続いて少女は、確信的な一言を述べる。


 「───皆様は、勇者として私達が召喚いたしました」


 優雅にも、スカートの裾をつまんで挨拶でもするかのように、少女は言った。

 当然『勇者ゆうしゃ』という単語に何人かはぴくりと反応する。


 勇気ある者を意味する勇者。だが一転して力を持つ者としても捉えることは出来る。

 昨今のライトノベルでは、異世界に救世主的な意味合いでの勇者として高校生やらサラリーマンやらが召喚される、なんて内容も多く存在するが、奇しくも現在俺達はその作品の冒頭と似たような展開をなぞっている。


 となれば、俺の仮説は現実味を帯びてしまう……ここが地球では無い別の世界で、俺達はつまるところ、のだと。


 ───だが、そうと理解しても、何かを叫ぶことなどこの中でできるはずがなかった。


 そしてそこからは、王女様が具体的な召喚した理由を説明しだした。


 最近国内外で『魔物』が増え始めた。凶暴化した『魔物』や、果てには高ランクの『魔物』等も出現しており、他国でも被害が出ているのだとか。

 更にそれから少しして、神殿に『神託』が降りた。内容は『魔王の復活と勇者召喚』を仄めかすもの。

 過去にも魔王が復活した際には勇者を異世界より呼び出し、魔王を倒してもらった、という内容の伝承があり、この国───ルサイア神聖国はすぐに『勇者召喚の儀』を執り行い、そして俺たちが『勇者』としてこの世界に召喚された……と。


 要約すると、そんな感じの内容である。当然その内容に異議など唱えられるはずもない。内容が俺たちの知る常識とは全くかけはなれたもので、誰もが言葉を発せなかった。


 ここで勇敢にも『何故俺達が召喚されたのか』という疑問を誰か言ってくれないかなと視線を飛ばすが、その際に目が合った、学級委員長であり、クラスのリーダーでもある友人は静かに首を横に振った。

 

 「今は待て」


 声は発していないが、唇が僅かにそう動く。


 この異様な状況では迂闊に動けないと判断したようだ。うん、俺もそう思いますよ。


 「それでは皆様の部屋に案内します」


 俺達が何も意見を発せずにいれば、王女から引き継ぐ形で彼女の後ろから一人の女性が出てきた。

 メイド服───それもメイド喫茶などで使われるコスプレ用のものとは大きく異なる、少し味気なさを感じるような、だが確かに実用性を兼ね備えたそれを着た女性。


 つまるところ、メイドなのだろう。その所作も非の打ち所ない完璧なもので、ただのお辞儀すら感嘆とせざるを得ない。


 そのまま俺達はメイドに連れていかれる。王女と、そして一言も喋ることなく、しかしただその場に居るだけで威圧を放っている王は、まるでまだやることでもあるかのようにその場に残っていた。



 ◆◇◆




 部屋に案内する、と言われて複雑な城のような場所を歩かされた俺達。

 そこは本当に、城だ。マジモンの城だ。俺達が居た、あの聖堂のような場所は地下にあったものらしく、階段を上り、長い廊下を歩き、幾つもの角を曲がりそしてようやくついたそこは、ホテルのような豪華な部屋だった。


 洋風の部屋でベッドが一つ、テーブルと椅子が一つずつ、多分トイレが一つとある。同時に一人で旅行などしない俺にとっては少し広く、落ち着かない空間でもあった。


 忙しなく動く視線を無理やり止め、取り敢えず俺は落ち着くために椅子に腰をかける。ホテルのベッドは新品感があって逆に落ち着かないので、そういう時は椅子にゆったりと座った方が考え事には丁度いい。


 さて、勇者だ。どうやら俺達は勇者になったらしい。とはいえ、手をバッと突き出して「ファイアー!」と叫んでみても炎は出ないし、俺も出るとは思わなかった。

 よく分からないが、この状態であの王女は俺達を勇者と言い張り、その勇者は魔王を倒すのだそうだ。倒さなきゃいけないようだ。

 伝承でもそうなっているらしいし、話が全部本当だと仮定するなら当然同じようにさせられるのだろう。


 

 「……はぁ、どうしてこうなった」



 呟いたところで、答えるものなど居ない。


──────────────────────────────


 今回は初回大サービスということで、本日中にもう二話投稿しますのでよろしくお願いします。


 そういえばタイトルは思いつかないことや、微妙になってしまうことが多いので、今回からは何話かを示すだけになりました。ここだけは前作より劣っていますね……いや、できるだけ分かりやすくはしていきますし、他のところはこっちの方が良いのよ?

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