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ユティエ
プロローグ
とある医者の独白
西暦2045年、7月4日……第三次世界大戦が終幕を迎えた日に俺は生まれた。
戦争の影響でか両親の教育は過激で、父は片腕と目に障害を抱え、母は精神を病み日常生活がおぼつかなくなってしまった。
そんな家族の中で俺と一人の弟、そして妹二人と子供まともに生活できる人間がいない状態だった。これは俺が中学の頃であり、高校卒業間近に母が、大学2年になろうとしている頃に父が死んだ。
母は病死、父は自殺だった。
そんな比較的荒れた環境で育った私は医者になることが将来の夢になっていた。母が死に心の整理がつかないうちに父を妹たちに預け、遠くの大学へ
一人進学した。
この時中高生だった妹たちにに介護されながら生活していた父はそれを恥じらってか自殺したそうだ。妹たちは気を使ってからかこのことで俺を大学から戻そうとはしなかった。
両親を失っため、我が家は一時期完全に収入が途絶えていた。しかし、かなりの資産があったため、ある程度の生活は維持できていた。
この両親の死に当時の俺は頭の理解が追いついていなかったためか涙の一つも流してやれることはなかった。その点、妹たちは俺より遥かに人として出来上がっていたと思う。
ただ今となってはわかる、俺の両親は 親としてはどうだったのかはわからないが確かに『いい人』だったのだと。
―――
酒ももうなくなりあとは行動に移すだけとなった。
きっかけは些細なことだった。経験のある医者ならすぐにカバーできる程度の出血はであり、自分自身何回か経験したことのあるもので、あの時も今までと同じように処理するつもりで止血処理をした。
しかし、一向に出血は止まらず手術室に赤が溢れていく、止めようとすればするほど赤が溢れていく‥‥そしてついに赤は溢れなくなった。
……地獄はここからだった。
この医療ミスの原因は他の医者によって仕組まれたものであった。(救うべき患者を?よりによって医者が?出世のためと?他人を蹴落とすためだけに殺した???)
意味がわからない。理解不能だ。許されない。
だが隙きを作ったのは自分だ。許されるのか?謝って患者が生き返るのか?なぜ俺が……殺した?殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した……
もう疲れた。もう何もかどうでもいい。いずれ忘れられ消えてゆく。
9.8m/s・19.6m/s・29.4m/s………空はどこまでもキレイで‥‥
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