愛の終りに

時は流れて…


12月15日の午後2時過ぎのことであった。


ところ変わって、高松市屋島中町のなみさんが働いている理容院にて…


店内でなみさんとあらたさん夫婦と女性店員さんの4人がお客さまの散髪をしている。


なみさんは、70代の男性の散髪をしている。


男性は、なみさんに『うちの息子は40が近いのにまだ嫁はんをもらわんけん困っている…近くにいいお相手はいるのかなぁ~』と言うた。


なみさんは笑いながら『まあ、そのうちいいご縁は来るから大丈夫よ。』と言うた。


ユーセンのスピーカーから、高田みづえさんの歌で『愛の終りに』が流れている。


その時に、けんちゃんとゆりこが店にやって来た。


「なみさん。」

「あら、けんちゃんとゆりこちゃん。」


けんちゃんは、大きく深呼吸したあとなみさんにゆりこと結婚することを伝えた。


「なみさん。」

「なによぅ。」

「オレ、決めたよ。」

「決めたって、何をよぅ。」

「ゆりこちゃんと…結婚する…ちっちゃい時から今日まで…そしてこれからも…想いは変わらない…伝えたいことはそれだけです…ゆりこちゃん…行こう…」


なみさんは、店から出ようとするふたりを止めた。


「ふたりとも待ちなさい!!」

「えっ?」

「そのまま帰ったらどないなるのかわかっとんかしら!?」

「えっ?」

「けんちゃん!!あんたはゆりこちゃんの気持ちを考えてそのように言うたのかしら!?」


なみさんから怒鳴られたけんちゃんは、強気な声で言うた。


「ゆりこちゃんは、ぼくのことがずっと大好きだと言うた…ちっちゃい時にヤクソクした!!大人になったら結婚しようねと言うてくれた!!だからぼく…だれがなんと言おうとゆりこちゃんと結婚する!!」


なみさんにタンカ切ったけんちゃんは、ゆりこを連れて店から出て行った。


なみさんは、ものすごくあきれた表情でふたりの背中を見つめていた。


その一方で、けんちゃんとお見合いをすみれさんは、ずっとやりたかった通訳の仕事に転職するための準備ができたので、韓国の大学へ留学することになった。


けんちゃんとゆりこがなみさんに思いを伝えている間に、すみれさんはキンポ空港に到着して、ソウル中心部へ向かっていた。


すみれさんがイワマツのメンバーに加入するのはうんと先のことである。

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