おち〇ぽサバイバル編

可哀想なエロでは抜けない

「はい、というわけで今話から新章! ということでね、はい、というわけで! 新章やっていきたいと思うんですが、実はですね! 今回から新章!! というわけでね」


「露骨な文字数稼ぎやめい……」


「ちなみに今話では物語を進める気が一切ありません」


「だろうね! タイトルで性癖表してるラノベなんか今時ねーよ!!」※ソース無し


 今日もいつも通り、サユキ達は例の家でわちゃわちゃやっていた。


 ちなみにライデンは、「ちょっとおっパブ探してくる」と言って街へと旅立ったため留守である。


 家にいるマイキーはもちろん全裸、サユキは透き通るような金髪を撫でながら、あまりない胸を露出するラフな格好だ。


「ラフどころかバンカーですけどねぇ」


「ゴルフ!? ていうか、そんなに無いわけじゃないし……」


「僕は可哀想な女の子で抜けないと、あれほど言ったでしょうに」


「平然と私で抜こうとするな!!」


「いやいや。僕は無類の熟女好きなので」


「あー、そういえば」


(回想)


「あー、冒険者の方ですかー? ……私、まだ高校生だけど〜。今なら1000ドールで一発ヤッてあげてもいいよ。どう?」


「僕は熟女好きなので。話しかけないでくださいメスガキ」


「メスガキ!?」


(回想終わり)


「なんてこともあったなぁ……」


「キメェな相変わらず。土居さんも涙目のキモさだぜェ」


「ほんとそれな──ん?」


「今回は話を進める気は無いと言ったでしょうに……あ、この方はカナタさんです。一〇通行を彷彿とさせる口調ですが実は黒髪の美男で、ホストに居そうな感じの男性です。僕たちをお見合い(笑)させた張本人ですよ」


「ご丁寧なキャラ解説どォも」


「勝手に入ってこないでくださいよ……気持ち悪い」


「オイオイ。マイキーと同じベクトルの『気持ち悪い』なら容赦なくオレはお前を殴り飛ばす」


「どんだけ嫌なんですか!?」


「心外ですねぇ」


 いい感じに新キャラも登場したし、このへんで一旦区切りにしよう──そう思うサユキであったが、それをマイキーが阻止する。


「さっきの話の続きですが、やっぱり双方同意の上でそういうのに慣れていない女性が感じるのを我慢してでも結局喘ぐってのがセオリーですよ。無理やりにヤるなんてとんでもな──」


「あーもう●ね!!」


 サユキの罵倒をスルーし、マイキーは満足そうに頷いた。さすがに973文字で一話分にするのはどうか──そういう理由により、この話は終わらないことになったらしい。


「メタい……たまに思うわ。私たちってなんなの?」


「僕とライちゃんはともかく、サユキはお色気担当キャラなんじゃないですか? わかったら早くその服を脱げ!」


「脱げるか!!」


 軽く小話を挟んだ後、マイキーは誰に向けてか口を開いた。


「さて、僕の方から持論を述べさせてもらいます。ご存知の通り、カナタさんとサユキはシリアス成分たっぷりなのですよ。つまり──この小説の根本が今覆されようとしているわけです」


「んーと、まぁオレが来たのにはちゃんと理由があってだな」


「清々しいまでの華麗な無視……!?」


「一話に登場したシリアス感満載の子どもよりタチが悪いですねぇ」


「反応したら負けだと思ってる。……まぁ率直に言うと、」


「そういえば炭酸水にチ〇コを入れたくなることってよくありません?」


「意地でも流れに抗っていくスタイル……敵ながら称賛を送りたい」


 カナタさんは一応目上の方である。しかし、そんなことには一切構わずにマイキーはとにかく話題転換を企む。


「カナタさんと言えばチンポですよね。チンポといえば────そう!! オチンチン!」


「金がないお前らのために、近々開催されるイベントの詳細を入手してきてやったぞ」


 マイキーのボケをガン無視し、カナタはドヤ顔でそんなことを言った。


 一瞬表情を明るくするマイキーとサユキだったが、やがてため息をつく。


「喘ぎ走りの達人こと土居さん救出の報酬で今は家計が潤ってるんですよねぇ」


「しれっと私を家族に入れるな」


「ちなみにサユキには裏設定がありまして。彼女には双子の姉がいるのですが、喧嘩別れしてサユキは絶賛我々とギルドで仕事をしているということです。お父様は確か借金まみれなので、近々サユキは893にさらわれるとかいうシリアス展開が待ってるんでしょうね──」


「黙れ。えっと、土居さ……カナタさん、その件ですが今回はパスでお願いします。内容がどうであれ、今お金はあるので」


「何気なく喘ぎジジイと恩師の名前を間違えるとは……ヒロイン失格ですねぇ」


「ちなみにそのイベントは、孤島で行われるそうだ」


 会話はキャッチボール──という精神を真っ向から否定するレベルのドッチボールであった。多分自我の強いAIに会話させたらこんな感じになるであろう。


「しかし勿体ねェな。『第一回おち〇んちんフェスティバル』に行かないなんて。特にマイキーなんか大喜びして参加すると思ったんだが──」


 その言葉を聞いて、マイキーのマイキーが恥ずかしげに顔を出した。


 それはもう、ブラッブラに揺れていた。


「絶対に参加しましょう。サユキ、早く荷物を纏めて!」


「絶対ネーミングだけで決めたよね? あとその汚ぇキノコしまえ」


 会話のテンポにおけるライデンの重要性を噛み締めつつ、マイキーとサユキはそのイベントに向けて着々と準備を進めるのであった。


 冗談のつもりだったのに、やっぱこいつら頭おかしいな──カナタは大急ぎで準備をする彼らを見ながら、そんなことを思った。


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