第2話 出会い

———「会ってみる?」


智からのメールだった。


私は当時憧れていた人のためにテニス部のマネージャーだった。



そして智はテニスの強豪高N高校の元テニス部だった。


私はよくテニスの話を智としていた。

あの子が強いとか、かっこいいとか、そんな話から、今度の中体連はどこをみにいく?という話になった。


私はもちろんテニス部のみんなについていくよ!と。


そしたら智が


「俺も久しぶりにテニスみにいこうかなー。」


『え?!じゃぁ会えるかもね!』


と返信をしたら


あってみる?って。


私は怖いものなんてなんにもなかったからそれが嬉しくて!!


別に気があったわけじゃなくて、本当にたまたま偶然に、その日会うことが決まった。


当日は雨が少しぱらついていたけどなんとか試合はできそうだった。


私たちの高校はそんなに強くない。


だから早々に試合も終わって、他の高校の試合を見ていた。


その時智からメールが来た。


「ついたよー!どこにいる??」


ドキドキしていた。

やっぱり初めて会うのは緊張するし、部活の一環だし、なにかと思うものがあった。


『いまね、一番奥のテニスコートの前にいる!』


「近くに行くね!」


『白い帽子をかぶってるよ!Tシャツはピンク!』


そんなやりとりをしていたら遠くから歩いてくる男の子がいた。


細身ですらっとしていて、そして本当にさわやかで、あの時の智は本当にキラキラしてて、漫画なんかでよくありそうな感じで。


「りな?」

『うん、智?』

「うん、思ったよりちっさい(笑)」

『どういう意味よー!』


初めて会った感じがしなくてそこから1時間も二人で、試合も見ずにコートでおしゃべりしてた。


「また明日もくる?」


『うん、くるよ!智は??』


「俺もくるよ!また会える?」


『うん!会おう!』


こうしてその日は智と別れた。


帰りのバスの中でもずっとメールしてた。

他愛もない話を延々と。

でもかっこいい彼には彼女がいた。


あれだけかっこよくて爽やかだったら仕方ないよね。


すごく楽しい時間だったからなんとなくそれがひっかかっていた。



そして次の日。


この日は生憎の雨で試合はほとんど中止。

私たちの学校も試合はほとんどせずに行って雨が上がるのを待っている状態だった。


部員でもそんな状況だったので、ただの観覧者の智は外の会場には来ないという、選択をした。


(あー、会いたかったなぁ…)


もうきっと会うこともないんだろうな。


「りな、会いたかったな。」と智からメールが来た。


『私も』


「ねー、りな?今彼氏はいないんだよね?好きなやつとかもいないの?」


ドキッとした。


智のこと好きになっちゃった!


なんて可愛くいえたらよかったのかな?

でもそんな勇気もなく


『そうだよ!』


と答えた。


それからしばらくメールの返事はなかった。


やっぱりそんな程度だね。

諦めかけてた時智からメールが来た。


「彼女と別れた!」


『え?!なんで急に!』


「りな、俺と付き合ってくれん?」



…えー!!!


めちゃくちゃびっくりしたし、当時思い描いていた彼氏彼女みたいなのとは違ったけど私たちは始まった。


『うん、いいよ!』


そして、この記念日を18年後も二人で過ごすことになるとはそのときは想像もしていなかった。







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