王城にインターン生が転がり込んできた
けーぷ
第1話 ここが王城である
突然だがとても広い部屋に引っ越した。都内。2LDK、60平米。素晴らしい住環境だ。築年数も浅く鉄筋コンクリート造。周囲の環境も静かで良い。
暇だった週末に会社の後輩(もちろん男。もちろんなところが悲しい。)を呼んで軽いホームパーティーをした。その際に言われた言葉が印象的で覚えている。
「せんぱい、マジで家広くなりましたね。独身でこれはやばいですよ。」
「だろ?奮発した。花の独身貴族!」
「いやいや、貴族どころか都内でこれはもはや王族ですよ。」
「ということはここは王城だったわけだ。」
そんな下らないやりとりをして以降、会社では我が家のことは「王城」と呼ばれている。うちの会社はいわゆるベンチャーでリモートワークもOKな会社だったので家にいる時間も長い。そのため家からオンラインで会議に参加することも多いがその度にいじられる。
そんな事を考えながら目の前の現実から逃避すること数分。さすがにこれ以上現実逃避するわけにもいかないので我が家の玄関前に座り込んでいた人影に声をかける。
「おい、大丈夫か?」
顔を上げる人影。。。というか我が社の学生インターン、西原
「せんぱい、、、」
泣きはらした顔で西原が俺のことを見上げてくる。この西原、学生インターンとしてうちの会社で働いてくれている大学生。俺も同じ大学の出身だったこともあり会社の飲み会で知り合いその際に懐かれた。以降ちょくちょく会社で話したり、昼飯を会社の近所で食ったりはしていた。当然のごとくプライベートの付き合いはない。
「というかなんでお前が俺んち知ってるんだよ。」
「原田さんに教えてもらいました、、、」
呆れた顔で西原に聞くと先日
「あぁ、そういうことね。理由はわかった。で、なんでここにいるんだ??」
俺が若干強めの声で問いただすと、また涙が溢れそうになる西原。あかん、これはマジでめんどくさいやつに巻き込まれた。。。しゃーない。
「悪い悪い、別に怒ってないから。ひとまずそこどいてくれないか?家に入れない。」
俺がそう声をかけると西原は大きなボストンバックを抱えて玄関から立ち上がった。俺は何も見えてない。俺は何も見えてない。。。
「少しここで待っててくれ。車の鍵をとってくる。ファミレスでも行こう。そこで話をきく。」
いや、家にいれるわけ無いじゃないですか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます