魔法使いは願いを唱える
武田修一
魔法使いと機械人形
「……きれいだ」
一目見て、欲しくなったのは初めてだった。
自分と同じような銀糸の髪。そして、青い瞳、オートクチュールのメイド服。大事にされてきたんだろうというのは、見てわかった。けれど、その大事にされてきたであろう”それ”は、台車に乱暴に積まれており、今まさに
長い手足が台車に収まりきらずに、外へ出ていて、目はぼんやりと開かれていて、青い瞳が虚空を見つめている。台車が揺れるたびに、銀糸の髪がぱらぱらと揺れて、手足もぶらぶらと揺れた。
この状態は、きっと、
――――なめらかな曲線が、やわらかな銀糸が、私の目を縫い付けて、やめない。
台車を引いている男は、作業服を汗でぐっしょりと濡らしながら、運んでいる。そういえば、この先にはスクラップ工場があったな。
前の持ち主から奪われたのか、持ち主がいなくなってしまったからなのか。まあ、
気づけば、体が動き出していた。
「ねえ」
”
「”それ”、今から
「は?…………そうだが。アンタには関係ないだろう」
もちろん関係は無い。男の言うとおりだった。
手を伸ばせば、届く距離にいる”
「ちょうだい」
「は?」
答えを聞く前に、持っていた杖をひとふり。きらきらと星が散らばって、風と共に”
「これできみは私のものだ」
にっこりと笑って、”
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