第3話 転移センター

 時は少し戻り召還時に戻ります。

 外伝的な話です。


 天界の転移事務局

 天使xxxxは(名前表示不可仮称マーリア)今日も召還術を発動された案件の処理に勤しんでいた。



「えっと今日は80人のオーダーね」


 端末の前で操作をしている。


 目の前にはベッドに寝かされた召還中の男女80人を確認。魔方陣より指示のあるスキルやステータス付与を行っていく。


オーダーシートと一人一人を見比べて間違いがないか確認して往く。

問題な無いが、なんとなく一人の女性が気になり確かめる。頭を撫でながら


「えっと如月 瀬利佳さんね。綺麗な子ね。何かしら?運命を感じるわ。不思議な子ね。こんな事は初めてだわ。何かこの子とまた会う予感がするのよね。まさかね。あり得ないよね。まあ、他人とは思えないから、少し私からプレゼントね。精神攻撃への耐性とテレポートを上げるわ。瀬利佳さん、生き延びるのよ!行ってらっしゃい!」


そうして如月瀬利佳を筆頭に80人を転送させるも、ミッションコンプリートの表示がない。

 慌てて部屋を見渡すと、床に黒いオーラを纏ったぼろ雑巾の如く転がっている男を発見。


「えっっええええ!!!」


 声にならない悲鳴を上げて、その男を慌てて手近なベッドに寝かせて転送処理に入る。

 そこへ上司の大天使が様子を見に来た。


「久し振りの大人数だが大丈夫か?」


「はい今最後の一人に取り組み中です」


 順調に進んでいるかのような返事を行った。

 実は前回の転移でスキル付与を間違い、大目玉を喰らったばかりでミスは許されない。


 端末を見るとエラーが発生しており、転送不可と表示されている。

 年齢が466435346184546。

 名前 ランスロxトdkdjdjdhsh

 確認すると年齢でエラーがあり、先の転移者と同じ18才に修正。確か今回のオーダーは18±1歳だ。

 名前もランスロツトと修正し、慌てていた為、本名と違う上にツとッの違いを見落とす。

 他の項目も見返す事なく進めようとして


「ギフト及びスキルが本来のポイント上限を越えていますが、宜しいですか?」


 そう警告の表示があり、スキルポイントの上限を越えている分が、自分の年間の権限総ポイントで有る事を確認せずに転送実行をぽちってしまった。


 ステータスもレベルがラベルになっている等エラーがてんこ盛りだが、焦っていてぽちってしまっていた。

 スキルやギフトが転移先で本来選択出来ない物で、しかも複数選択してしまっている事を見過ごしてしまっていた。スキル名が空白に見えたからである(スペースでの文字化け表示)

彼女の権限で一応転送可能な為、実行されてしまった。


 おかげで転移をぽちっちゃった後に、天界に警報が鳴って、大騒ぎと成った。

しかし、上司による犯人探しの時には80人の完了ログと80人の指令書を見せて事なきを得た。

 その後志朗のログを消して闇に葬ったのは内緒。

 これにより志朗のエラーが発覚する事は、当面無しになったのであった。

 マーリアは爽やかな笑顔で志朗の幸せと、如月瀬利佳が無事に生き残る事を願った。


 そしてその様な事情が有った事を瀬利佳も志朗も当面知る事はなかった。

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