第17話

「えっ、そう…なの…?? よく分からないけど…夏希じゃないとダメなんですね」



理解出来ないままだが納得した姫乃に少しフォローする亮介。




亮介


「今の僕には余り分からないけど、歌劇団は女性の憧れなんでしょ…だから姫乃には可哀想な僕の手助けをしてる優しい女性のスタンスでサポートしてくれれば十分だよ。女性達の夢を壊さない様にね」



姫乃


「夢を…壊さない…」



亮介


「そう、男に媚びてるとか長い物には巻かれるなんてイメージが付かないで欲しいんだ」



姫乃


「私のファンは信者見たいなものだから大丈夫ですよ」



亮介


「そうかな…サポーターのオーディションに出た事をネットでは結構叩かれてたよ」




宝石の華ファンから姫乃は、男に媚びるなんて幻滅したとか女を武器に使って活躍しようなんてみっともないなどネットは荒れていた。




姫乃


「そう言う人は、宝石の華ファンでも他にお気に入りが居て私のアンチなんですよ心配しないで」



亮介


「アンチでも僕は気に入らないな…僕のサポーターを悪く言う奴らは」



サポーターオーディションに合格した時点で亮介に気に入られてると思っている姫乃は、この言葉で亮介の“夏希はお気に入り”発言を自分が引き下がりやすくするための方便で本心は私に輝いて欲しいから少しでも自分に時間を使って頑張れと言う事だと解釈した。


姫乃

「そう言う事なのね…」


亮介

「えっ…?」


姫乃


「あなたの言いたい事は、分かりました。ありがとう亮介…そうするわ」




この事が切っ掛けでお嬢様育ちの姫乃は女優業に初めて真摯に向き合う。





逆転世界で、表の世界の亮介もいろんな人に影響を及ぼし始めていた。






姫乃は、付き人を呼んでキャンセルした仕事をやる事にしたからプロデューサーに連絡するよう指示した。




「プロデューサーからです」



付き人が携帯を姫乃に渡す。



「先日は大変失礼いたしました……  そうです。改めて宜しくお願いします」



姫乃は話ながら退席した。




… ???…なんか、知らんが…やる気出したみたいだな、まぁ僕には好都合だ …






      [恋]


姫乃が居なくなって夏希と2人になりテンションが上がる亮介は、夏希を落としに掛かる。




「夏希はどうしてオーディションに合格したと思う…」



「えっ…余り深く考えてなかったけど、多才な亮介さんが…」



「亮介だ、敬語はなしのルールだから」



「あっはい…亮介が絵に興味があるんだなと思って、それに私水泳得意だから」



「違うんだ… さっきもちょっと言ったけど、本当の理由は夏希が僕のタイプだからなんだ」



逆転世界で男性からタイプだと言われた事などない夏希は亮介の言葉の意味が分からない…



「えっ…からかってるんですか」



「記憶を無くしてから僕の好みが変わったんだ…」



「好みが…… 記憶喪失の後遺症ですか?」



… やっぱ、らちがあかないな…2人きりだし実力行使で行くか …





逆転世界では、カリスマ美男子の亮介に大抵の女子は逆らわない。そう考えてる亮介は夏希を手込めにしようと淫らな手を伸ばす。



「この顔が好きなんだ」



「うそ! うそに決まってる!」



そう言って亮介から離れようとする夏希に亮介が抱きついた。



「本当だよ……サポーターの合格者も半分が夏希達が思うところのブサイクな女の子だろ」



「……半分」



「おかしいと思わない?」



「そんな事言ったって… 分かった私が本気にするか誰かと賭けでもしてるのね…何処かにカメラあるんでしょ」



「なに言ってるんだ、そんな分けないだろ!」



「後で、みんなで私を笑い者にするとかゲームでもやってるんでしょ」



「だから、そんな分けないって!」



「別に…いいけど…私だって傷つくのよ」



泣き出す夏希に心を締め付けられる亮介…女を泣かせた罪悪感を初めて味わい、それと同時にこの子を守りたいと思った。



「僕を信じて…」



そう言うと夏希を抱きしめキスをした。


 夏希は驚いた顔をしてるが抗わない、亮介に身を任せた。



… 亮介さんが私を好き??信じられない…でも抱かれてる、これは現実…分からない、ただ今はこのまま夢を見ていたい …




亮介の様子は、昨日のハルナの時とは違う…女の涙にやられて夏希にホレてしまったのだろう。






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