美・逆転世界
山光 海闇
第1話
【もうひとつの世界】
僕は山神 亮介、孤児院出身で特徴は超ブサイク、今までそれでイジメられてきた…だから孤児院を出るとすぐにボクシングジムに通いながら働いた。
ボクシングはセンスが無くてプロにはなれなかったが、お陰で大人になってからはイジメられなくなった、一般人に喧嘩で負ける事はない…何なら3対1でも勝てるレベルだ。だけどイジメられないのは良いが、ブサイクで怖いと言う事になり何時も1人で寂しくつまらない毎日だ。
たまに町に出て、僕を見て笑った奴を脅かし憂さ晴らしをしている。そんなある日、事件は起きた。
キャァーー!!
危ない!!!
叫び声に振り向くと信号待ちをしてる僕にトラックが猛スピードで突っ込んで来た!
ドッガアン!ガシャン!!
僕は完全に死んだと思った…
目が覚めると目の前に鬼が…
「えっ!! 鬼?」
顔は人に似てるが頭に二本の角が生えている。
「違う」
… しゃべった!何だこれは、どうなってる ……そうだ、そうだった僕はトラックに轢かれたんだ…これが死後の世界か、道理で真っ暗だ …
「それも違う」
「それも?」
「私は全知全能の神なのだぁ~~!」
「……」
「下等な人間よ…お前の思っている事などお見通しだぁー!」
… えぇーー! 考えてる事が読まれてる! …
「どうだ、凄いだろう」
… 鬼のどや顔、こっこえぇ~ …
「だから鬼じゃなく神だって言ってんだろ」
「すっすみません…でっ……そっその神が、僕なんかに何の御用ですか…」
「これから話す事は全て事実だ、落ち着いて受け入れろよ」
何故か、以外に落ち着いていた…たぶん自分がどうなろうがどうでも良かったからだろう…僕は神の話しに耳を傾ける。
「まぁ、知らなくて当然だが世界は2つある。そしてその2つはバランスを保ちながら成り立っている…
ところが、もう1つの世界で問題が起きた…」
「問題……それが何か僕と関わりがあると?」
「おぉ~、飲み込みが早くて助かる」
… バカにしてるのか…?さっさと話せ …
「お前生意気だなぁ…」
… うっ……心が読まれてるんだった …
「ごめんなさいぃ~~」
「まぁ良い、説明を続ける。2つの世界は全て同じ構成で出来ている…基本的には。
要するに表と裏に神山亮介が1人づつ生きている…だがこの2つの世界には1つだけ違いがある!
それは美意識だ」
「美意識…?」
「そう、表と裏では美意識が逆さまになる。その違いが大きく世の中を左右させる…表の世界でとるに足らんお前が裏の世界では大きな影響力を持っている、その裏のお前が消されてな…このままでは世界のバランスが崩れ世の中が崩壊しかねない。
そこで表の世界でとるに足らんお前を裏の世界に呼んでやったと言う訳だ……よろこべ」
「よっよろこべって、僕は別にどっちでも良いよ」
「はぁ~~!!! お前、話し聞いてたかぁー! それともバカかぁ~~!」
「ちっ、何だよ~~利口じゃ無いけどバカじゃねぇぞ!」
「利口じゃないなら、バカ何だよねぇ」
… そんな極端な…まぁ、一理あるけど …
「…簡単に言うと、こっちの世界ではお前がトップクラスの美男子何だよ」
… だから、どっちの世界だってべつに!!!
えっ、えぇーー!!!!!!
もっかい
えぇーー!!!!!!!!
ついでに
でぇーー!!!!!!!!
僕が美男子??
そうか、美意識が逆!前の世界との違い …
「やっと理解したか、と言う事はバカだと認めるなぁ~~」
… そこかい! …
「そこだよ!」
… なぁ~~~、心の突っ込みに突っ込みで返されたぁ~~! …
「神様は、意外と漫才好きだよ」
「いや、それはちょっとおいといて、それじゃ~こっちの世界で僕は人気者とかかなぁ?」
「ほぉ~~もちろん人気があるが、そんな事が気になるとは、こっちの世界にすぐ馴染めそうだな」
「めちゃくちゃ楽しみです神様ぁ~~!!!」
「そうか、そうか!
はぁーはっはっはぁっ!!私に感謝しろ!」
「一生感謝しますぅ~~死んでも感謝しますぅ~~」
「よし、じゃ~新しい人生いってらっしゃ~~い!!」
「イェーーイッ!いってきまぁ~~す!」
【逆転世界】
僕の新しい人生が、始まった。神様が言うに、この世界の僕はカリスマ男子でSNSだけで生活してるらしい。
この世界の僕が1ヶ月前に消えて世間は大騒ぎになっていた。僕は神様に言われた通り記憶を失くした事にして美意識が逆転してるこの世界にデビューする。
前は、風呂無しアパートだったのにこっちの僕はタワーマンションの最上階に住んでいた。
「眺め最高ぉ~~!」
45階建てマンションの最上階は、下界を見下ろす気分だ…
これが美意識の違い…前の世界で僕は上から見下ろされていたが逆転した、今は見下ろす側だ…あの底辺には僕をバカにしてきた奴らがいる…ちょっと仕返ししようかと考えたが、ここでは昔の僕のような生活をしてるんだと思って虚しくなった。
「そんな事よりフォロワーの数見よう」
最新のアイフォンは、充電が切れていたので即充電して電源を入れると着信とメールがMAXだった、でもそれは無視してブログを開く。
「え~と……おっ出た!」
ブログのフォロワー数に目をやると盛大に驚いた!
「えぇーー!!!!!!!!!
2000万オーバー………
なるほど、こんなマンションに住めるはずだ……買ったのかな賃貸かな?」
取り敢えず僕は、ブログに復活の狼煙を挙げた。
“みんなごめんね心配したかな?軽い記憶喪失でした。そして復活!!”
自撮りを確認すると改めてブサイクだ…誰がこんな顔の復活待ってるんだよ…不安を抱えながらアップした。
一秒も経たないうちにいいねの数が羽上がる…呆気にとられてるとコメントもどんどん入って来る。
「これが…今の僕の力…ウオォーー!!!」
全力で叫んだ、そしてまずは…女とやることにした。
スマホの着信とメールを見た、こっちの僕の送信も見て彼女とセフレの特定をする……捜査は1時間を有に越え難航した。
… こりゃぁー、ほとんどやってるな。こっちの僕の文脈でそれが自然と解る…やはりもう一人の自分なんだと思った…とにかく誰か呼び出そうと思い、顔と名前を一致させようと更にスマホを捜査する。
恐ろしい事に、スマホの中は何処を探してもブスばっかりだった…しかもスペシャル級。たまに集合写真に可愛い子が映ってるが、改めて逆転世界に恐怖した。
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