第121話 アドバイス
久世ダンジョンの踏破を終え、ダンジョン内転移がLV21になった翌日。
今後は新規ダンジョンにおけるスパンも気にせずに済むということで、さっそく攻略推奨レベル10000越えのBランクダンジョンにでも挑戦する――という流れにはならなかった。
場所は既に踏破済のCランクダンジョン――【
ゲートの手前で、俺は隣にいる妹の手を握り問いかけた。
「華、大丈夫そうか?」
「うん、思ってたより兵器っ」
笑顔の浮かべ方を見るに、どうやら嘘ではなさそうだ。
あれだけの出来事に遭った後だから、ダンジョンに対するトラウマを抱いている可能性も低くはないと考えていたが、とりあえず一安心。
「じゃあ行くか」
「うんっ!」
俺と華は新見ダンジョンの中に入っていった。
先日、柳との死闘を繰り広げた後、俺は改めて華からその時の出来事について詳しく話を聞いた。
すると一つ興味深い話があったのだ。
柳は華の持つユニークスキル
その際、華のレベルは驚くほど上昇したとのことだった。
ステータス画面を見せてもらうと、そこにはこう書かれていた。
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天音 華 18歳 女 レベル:521
SP:4750
HP:3820/3820 MP:1390/1390
攻撃力:820
耐久力:900
速 度:820
知 性:940
精神力:820
幸 運:820
スキル:
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技能模倣(ストック)LV1
条 件:対象者に直接触れることにより、相手が保有するLV1以下のスキルをコピーする。
模倣可能数:最大で1種類
模倣時間 :最大で10分(再度触れることで伸ばすことが可能)
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これを初めて見たときはかなり驚いた。
俺が一年かけて到達した100レベルを大きく上回るレベルだったからだ。
いや、もしかしたらステータス獲得からたった数日でこれだけの成長は、もはや世界最速クラスかもしれない。
まさに世界最速のレベルアップだ。
冗談はさておき、問題はこれだけ上昇したレベルとステータス、それから大量のSPをどう活用するかだった。
あの日華は言った。
自分を、そして自分以外の誰かを守れるくらい強くなりたいと。
俺はそのための手助けをしてあげたいと思った。
そんな経緯から、ダンジョン内で実戦を交えながら様々なアドバイスができればと思って、こうしてダンジョンに来たというわけである。
「この辺でいいか」
第2層に辿り着き、周囲に冒険者がいないことを確認した俺は、そう小さく呟くのだった。
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