第118話 11個目の踏破

 翌日、俺は昨日と同様、久世ダンジョンにまでやって来ていた。

 時間の許す限り周回するつもりだが、少しだけ試してみたいことがある。

 とはいえ、そこまで大げさなことでもないが。


瞬間転移タイム・ゼロを利用したら、周回の速度が上がるんじゃないかってだけだけどな」


 瞬間転移を使用すれば、10メートル以内ならば一瞬で転移が可能。

 その代わり一回発動するごとに100MPを消費しなければならない。

 全部で25階層ある久世ダンジョンなら、一周するのに単純計算で2500MP必要となる。


 今の俺のMPが29790であることを考えれば10周程度しかできないが、何もずっとその方法を続けなくちゃいけないわけでもない。

 通常のダンジョン内転移と交互にやっていけば、MPを節約しつつ、速度も上げられるのではないかと考えたのだ。


 ……まあ、昨日の時点でやっとけって話だけどな。



「なんにせよ、これで効率は上がるはずだ。今日中の踏破を目指していくぞ!」



 気合を入れ、俺は久世ダンジョンに入っていくのだった。



『ダンジョン攻略報酬 レベルが12アップしました』

『ダンジョン攻略報酬 レベルが12アップしました』

『ダンジョン攻略報酬 レベルが12アップしました』

『ダンジョン攻略報酬 ………………



 結局その日は特に問題が起きることもなく、計40回攻略し、480レベル上がる。

 隔絶の魔塔に比べたら少しペースは落ちるが、命の危険などがないため、精神衛生上は間違いなくこっちの方がいいと思った。



 さらに翌日。

 本日の10周目、つまりは合計60周目を終えたタイミングで、脳内にシステム音が響き渡る。



『貴方は本ダンジョンを規定回数攻略しました』

『ボーナス報酬 レベルが30アップしました』

『今後、貴方が本ダンジョンを攻略しても報酬は与えられません』



「お、やっと踏破できたか」


 計11個目となるダンジョン踏破だ。

 ……そう言えば、踏破したダンジョンが10個を超えたら称号の表示はどうなるのだろうか?

 気になったため、確認してみることにする。



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 ダンジョン踏破者(10/10)

 ・ダンジョンを踏破した者に与えられる称号。

 ・特定数のダンジョンを踏破することによって、様々な恩恵が与えられる。


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「10/10のまま……ってことは、これ以上踏破しても特別な何かをもらえるわけじゃないのか」


 さて、困った。

 20個目の踏破を終えたら再び隔絶の魔塔に挑戦できるとかなら、幻の3つ目の報酬をもらえるチャンスがあったかもしれないが、どうやら無駄な期待だったようだ。

 正直かなりショックだが、俺一人の力ではどうしようもないことなので、ひとまず気にしないことにする。


「それよりも、まずは溜まったSPをどう使うかだな」


 ステータス画面を見ると、そこには16210SPと書かれているのだった。



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 天音 凛 19歳 男 レベル:14367

 称号:ダンジョン踏破者(10/10)・無名の剣豪・終焉を齎す者(ERROR)・賢者を超えし者

 SP:16210

 HP:112100/112100 MP:17330/31570

 攻撃力:25650

 耐久力:21980

 速 度:25840

 知 性:25090

 精神力:21770

 幸 運:23340

 ユニークスキル:ダンジョン内転移LV20・略奪者LV1

 パッシブスキル:身体強化LV10・剛力LV10・高速移動LV10・魔力回復LV2・魔力上昇LV10・状態異常耐性LV4

 アクティブスキル:金剛力LV10・疾風LV10・起死回生LV1・初級魔法LV3・纏壁LV1・浄化魔法LV1・索敵LV4・隠密LV4・鑑定LV1・アイテムボックスLV4・隠蔽LV1


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