第35話 無名の剣豪

『エクストラボスを討伐しました』


『経験値獲得 レベルが43アップしました』


『エクストラボス攻略報酬 レベルが30アップしました』



 脳内に鳴り響くシステム音の数々。

 格上の敵を単独(ソロ)で討伐したため、大量の経験値を獲得できたらしく、43レベルもアップしていた。

 その他にも、エクストラボスを討伐したということで30レベルもアップした。

 合計73レベルアップだ。


 普通の冒険者からすれば望外な結果なのだろうが、正直俺からすれば手放しに喜べるような内容じゃない。

 命をかけずとも、Dランクダンジョンでも周回すれば簡単に辿り着ける数字だからだ。


 ただ、レベル以外に焦点を当てるならば、かなりの儲けものが存在する。


 それがこの【無名の騎士ネームレス・ナイトつるぎ】だ。

 少し長いので、これからは無名剣ネームレスと呼ぶことにしよう。


 無名剣はかなりの高性能だった。

 常時性能が攻撃力+1000に加え、敵のレベルが俺より高い場合には、HPとMP以外のステータスが20%上昇というおまけつき!

 格上と戦うことは、これから先も必ずある。その時にきっと役立ってくれることだろう。


 装備推奨レベルが1000レベルなのが少しアレだが、先ほど振ってみた感覚的にはそこまで使いにくくはなかった。

 まあそれは両腕で持っていたからというのもあるんだろうが。

 無名の騎士の使い方を見るに、無名剣は本来片手で扱う武器なのだろう。

 実際、剣の大きさ的にもそう感じる。


 なんにせよ、今後絶対に必要となる武器だ。

 今すぐ使用するにせよ、1000レベルを超えてから使用するにせよ、心強い相棒となってくれることを信じている。



「ただ、その代償として夢見の短剣は壊れちまったんだけどな」



 今日に至るまで、長きにわたって共に戦ってくれた相棒だ。

 それが壊れてしまったことにほんの少し物寂しさを感じてしまうのは、自然なことなんだろう。


「今までありがとな」


 というわけで、最後に感謝の言葉を伝えておいた。

 意味なんてないことは分かっているが、俺の心の整理の問題だ。


 それから、最後に無名の騎士を調べてみたのだが、どうやら魔石を保有してはいないようだった。

 魔物によってはそういうこともある。少し残念だがすぐに切り替えることにする。


「っと、そろそろ時間か」


 今度こそ帰還の転移魔法が発動するみたいだったので、急いでダンジョンの外に持ち帰る物を回収する。

 ここまで入手してきた魔石とオークの石斧はアイテムボックスの中に。

 無名剣とハイオークの棍棒については、直接手に持つことにする。


 すると、タイミングよく転移魔法が発動し、俺は地上に帰還するのだった。



 その後、俺は無名剣を除いた全ての迷宮資源を売却することにした。

 爆煙魔石が残っていたら売らずに残していたんだけどな。

 まあ、これから何度も挑戦することになる。その時に集めればいいだろう。


 最終的に俺はこの剣崎ダンジョンにて、レベルが108アップし、62万円を稼いだのだった。


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 天音 凛 19歳 男 レベル:790

 称号:ダンジョン踏破者(2/10)・無名の剣豪

 SP:1010

 HP:2915/6250 MP:1600/1650

 攻撃力:1540

 耐久力:1140

 速 度:1520

 知 性:1400

 精神力:980

 幸 運:1320

 スキル:ダンジョン内転移LV12・身体強化LV10・剛力LV6・高速移動LV4・初級魔法LV3・魔力回復LV1・魔力上昇LV1・鑑定LV1・アイテムボックスLV1


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 無名の剣豪

 ・他者に頼ることなく、刀剣と自らの力のみで困難を乗り越えた者に与えられる称号。

 ・称号保持者がレベルアップした際、装備している刀剣類の武器の性能もアップする。


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る