まる

出会い

今日もなんでもない1日が始まる。

起きて支度をして楽しくもない学校に行くだけの日々。

僕の世界には、いつもいつも色がない。真っ暗な世界。

そんな僕の楽しみは本を読むことだった。本の中の世界はわくわくして楽しい気持ちにさせてくれるからだ。

そういえば、今日転校生が来るらしい。

クラスの人が騒いでいたので、なんだろう、と思っていると、中学の頃から同じの翔太が教えてくれた。

「理久!転校生どんな子だろうな!」

「僕は興味無いけどね。」




担任が入ってきて朝のHRが始まる。

「え〜、新しい仲間を紹介します!入ってきていいぞ〜」

ざわざわしていた。

「んじゃ、自己紹介よろしくな!」

そう担任に言われ彼女は

「小林瑠香です、よろしくお願いします。」

と少し緊張気味で言っていた。


休み時間になると、さっそく彼女の周りにはクラスの人達が集まっていた。

楽しそうにしていた。


僕はいつものように本を読んで過ごした。


僕は、放課後が1番好きだ。

誰にも邪魔をされないから。

誰も居ない図書室に行き、本を読む。そんな時間。

ところがこの日はいつもと違った。


本を読んでいると、彼女が入ってきた。

「あれ?クラスメートの人だよね?」

そう話しかけてきた。

「うん、そうだけど。」

僕は本を読みながら答えた

「やっぱり!!私は…」

「小林さん」

「あ、うん、小林瑠香です、え〜っと…」

「高橋理久」

「高橋くんか、よろしくね!」

「なにしにきたの。」

「いい本ないか探しに来たの。」

「ふーん、そっか」

「あっ、そうだ。高橋くんおすすめの本とかないの?」

「え、僕?」

「うん、そう!」

「小林さんが読みたいものを読むべきだと思うよ。」

「んー、そっか、あっ、この辺とか良さそう!」

「その作者さんはおすすめするよ。」

「なんだ〜、おすすめあるんじゃん!」

「まぁね」

「よし!これ読も〜っと!」

「んじゃあ、貸し出しやっとくよ」

貸し出し作業をし、ありがとう!と出ていく小林さん。

もう彼女とは関わらないだろう、そう思いまた本の世界へと戻った。

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