雨がヤンでる!?

銀銅鉄金

始まりの話

〈始まりの話〉

「ちょっとアマガサ。そこの場所だけ雨降らしすぎよ」

クラウディアがそんなことを言った。

「え……。そ、そうかな……?」

手元の水晶玉を見ながらアマガサが首を傾げる。

水晶玉の中には恐竜のような生物が闊歩している世界が映し出されていた。

そのうちの一匹を指差しながらアマガサは続けた。

「こ、このモンスターちゃん、さっき別のモンスターちゃんを虐めてたから・・・。わ、私が仕返ししてやろうかと……」

「私事で天候操作すんなっていつも言ってんでしょーが!」

「痛い……」

頭を小突かれたアマガサが涙目になる。

「あわよくば、洪水で殺してやろうかと……」

「余計にたち悪いわ!」

クラウディアは「ハァ……」とため息をつく。

「そんなことしたらそのモンスターだけじゃなく、他のモンスターも被害受けちゃうじゃないの」

「あわよくば、全ての生物が滅べばよかったのに……」

「なんでそう壊滅的思考なのあんたは! というかあんたがかばったモンスターも死んじゃうじゃない!」

再びクラウディアはため息をついた。

「なんでよりによって雨なんて重要な天気の担当がこんなマイナス思考なのよ……」

「それはこういう役割にしちゃった神様に言ってほしいなぁ……。なんて……」

「やかましいわ。ほらさっさと他の地域の天気も確認するわよ」

クラウディアが立ち上がり、水晶玉に手をかざす。

「ちょ、ちょっと待ってよクラウディアちゃ~ん……」

アマガサも慌てたように立ち上がる─────


ここはあらゆる世界の天候を司る世界、ウェザーリゾート。

そこに暮らし、働く精霊たちは少し変わった性格をしている。

そんな彼女たち精霊の日常をアマガサというとても変わった少女を中心に紹介していく。

これはそんな話である。

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