1の四 推しとの邂逅と女王さま
「ーーー火よ!」
校庭に置かれたいくつもの的。
その前に順番に並び魔法を当てていく生徒たち。
いつも通りの攻撃魔法の授業時間ーーー生徒の間に衝撃が走った。
「色なし」であるライラの魔法が発動したためだ。
「ライラが、ライラが魔法を使った!!!!」
きゃーっと歓声を上げながら駆け寄ってきたミシェーラに、ライラは苦笑いを返す。
ーーーそんな、クララが立った!みたいなテンションでいうことじゃないと思うのだけど。
昨日からミシェーラには明日の授業から魔方陣を試してみるとは伝えていたのだが、どうやら実際に見るまで魔法が発動することを信じきれていなかったらしい。
その後も水魔法で火を消すことに成功したライラにクラスメイトからは拍手が起こった。
次々におめでとうと言ってくるクラスメイトにライラは手を振り返す。
中にはあんな魔法が使えたくらいで騒がなくてもーーーという声も耳には入っていたが、その生徒たちのことは無視していいだろう。ライラはクラスにいる親戚の一人が悪意のあるささやきをしているのが目に入ったが、無視した。
ライラにとっても人前で魔法の発動に成功したというのはかなり重要な経験だった。
たとえそれができて当たり前の基本魔法でも。そしてーーー
「ライラック、よくやった!魔力操作がまだ荒いな。もう少し発動時間を短くできれば今日の課題は免除してやろう!」
ーーー脳筋のくせに、言うことは的確なアルフ先生の言葉で、その場の興奮は収まった。
そう、今日の課題は魔法発動を「自由自在に」行えるようになるというものだったのだ。
たっぷりと三呼吸ぶんほどもかけて、ようやく周囲と同じサイズの火の玉が出せるようになったライラにとっては、不可能にも近い課題だった。
ーーー結局その日も授業課題未達成の評価といつもの追加課題をもらったライラは、その足でフレイザー先生の元を訪れていた。
「ーーーというわけで、行使までに時間がかかりすぎるんですが、どこがいけないと思いますか?」
昼休み、魔法タバコを吸ってるところ、ライラに声をかけられたフレイザーは面倒臭そうな表情を隠すことなく話を聞いていたがーーー
「話聞くだけじゃわかんね。ちょっと実際にやってみて。」
ーーーライラの目論見通り、さすがに追い払われるようなことはなかった。前回と違い、ライラ自身が疑問点を明確にしてきたのも良かったのだろう。
フレイザーの許可がでたので、内心ガッツポーズをしながらライラは杖の先を使い、火の魔方陣を空中に描いていく。
杖は魔道具の一種らしい。
使用者の魔力を自動的に吸い取って、どこにでも魔力で線を書くことができる。
ライラはこの機能を、魔法陣の教科書で初めて知った。
思わず、図書館の机に杖で名前を書き、シャロンに呆れられていた。
普通の「魔法が発動できる生徒」は指先から線をかけるらしい。
変なところで感心してしまったライラだった。
ともかく、杖を使えば、自力で自分の魔力を動かすことができないライラでも魔法陣を描くことができた。
ライラは昨日から何十回と描いた魔法言語を、淀みなく円の中に書き込んでいく。
ライラの迷いない手つきと魔力の流れを見ていたフレイザーは、「色なし」の新入生がどうやら本当に魔法の発動に成功したらしいことを察した。
ーーーすぐに退学になるかと思ったが、2年には進級するか。
以前にも色なしの生徒を何人か見てきたフレイザーは冷静にそう分析した。
「色なし」であるライラは魔法陣の存在に気づくのが早かった。どうやら周囲の人間にも恵まれているらしい。
ーーーさっさと退学してくれれば俺としては楽なんだけどなあ。
フレイザーは魔法陣が専門である関係で、「色なし」の生徒を望んだわけでもないのに、いつも面倒を見ることになっている。
タバコをふかしながら、そんな教師失格なことを考えているフレイザーの前で、ライラは魔方陣を描きあげたようだ。
「ーーー火よ!」
その場に現れた拳大の炎を見て、フレイザーはすぐに問題点を理解したらしい。
「魔力量が思ったよりあるのな。でも、イメージ力が弱い。この魔法陣の中身理解してる?脳味噌死んでると魔力の回りが悪くなるの。魔法学園に入学したんだから魔法に興味あるんでしょ?魔法陣自作するくらいになれば10倍は早く発動できる。」
そう言ってフレイザーはライラが出したのと同じ魔方陣を両手を使い一瞬で描きあげ、ぼそっと「火よ」、と呟いてーーーー
ライラの背丈よりも大きい火の玉を出して見せた。
「すっご!」
ライラは驚きのあまり、拍手してしまった。
フレイザーはそんなライラを横目で見つつ、ボソりと付け加える。
「ーーーライラックは魔力量はまだまだ伸びるだろうし、これくらいはやればできるようになるよ。」
今日も変わらずフレイザーは毒舌だったのだが、最後に前向きなことを言われーーーライラは少し調子に乗ってしまった。
「ーーー魔法陣の内容勉強してきます!また質問に来てもいいですか?」
「ーーー俺の立場上ダメって言えないのわかるよね。…昼休みは休みたいから放課後にして。」
「は、はい。ーーーお休み中失礼しました。」
○
トボトボと教室に帰ると、目があったクラスメイトにひょっとこみたいな顔だなと言われるライラ。すぐに、拳を握りしめ、グーで殴りつけていた。
東方の島国出身のその生徒は涙目でお前ひょっとこ知ってるのか!?と言ったのだが、ライラに睨まれ逃げていった。
再び歩みを再開しーーーライラはミシェーラの横の空いている席にどさっと座った。
そんな様子を見たミシェーラが、魔力通話の端末から顔を上げる。
「ライラ、その様子だとフレイザー先生にアドバイスはもらえなかったの?」
ーーー純粋に心配してくれるミシェーラに癒されるわー。
ライラは肩肘をつきながら、ミシェーラの頭に手を伸ばし、二つに括られた髪を乱さないようにか、ゆっくりと、優しく撫でた。
ふふふと笑う彼女は今日も可憐である。学園三大美女と密かに話題だった。
彼女の重度の筋肉好きをしってかはわからないが、クラスメートの中には彼女に憧れるものも多い。
噂にとんと疎いライラでさえ、クラスメートや構内で漏れ聞こえる会話からミシェーラの人気は知っていた。
マスキラらしい筋肉質な子だといいねとライラは思っている。
ライラみたいな筋肉がつかないタイプだと悲しい結果になるのがわかっているためだ。
ーーー順調に身長も伸びているし、筋肉も少しだけはついてきたけどね。
そんなことを考えているライラが、ミシェーラを守るナイトなどと呼ばれているのを知るのはもう少し後になってからである。
ミシェーラへーーー今のところ彼女以外に向けられることのない、とろけるような微笑を浮かべ、ミシェーラの頭を撫でるライラ。
そんなライラを元気がないことが心配だ、というように見つめていたミシェーラも、普段と変わらない、向けられた視線の甘さに安心したのかライラの手を取ると、すりっと頬擦りした。
二人の作り出す空気感が自然と周りの視線を集めるのはいつものことだった。
しかし、呑気に話す当の本人たちは、教室の注目を集めているのには気が付いていない。
ーーー色なしだといって注目されるライラと、そのライラと常に行動を共にしているミシェーラは気づいた上で、気にしていないだけかもしれないが。
「アドバイスはもらえた。しかもフレイザー先生のすごい魔法も見せてもらった。でもーーー。」
「それなら良かったじゃない?なんで落ち込んでるの?」
「いや、フレイザー先生ってツンドラだなって。」
「ーーーつんどら?」
「そう、ツンデレはいいけどツンドラはきついよね。」
「つんどらなるものはキツいものなのね。でも大丈夫、ライラならどうにかなると思う!」
横で二人の話を聞いていたクラスメイトが、いや、ツンドラの意味突っ込めよ!そこは流すなよ!ーーーだとか、どうにかなるってめちゃくちゃアバウトな励ましだな!などと内心で突っ込んでいたのだが、二人の興味はすでに今日の授業の出来事の話に移っていたのだった。
○
放課後、課題をこなすため、いつも通り図書館棟に向かっていたライラはーーー途中の噴水の脇のベンチに寝転んだパーシヴァルとその真横に一人の女子生徒が立っているのを見つけた。
ーーーちなみにライラはあえて王族と行動範囲が重なるような道を通っているため、パーシヴァルとここで会ったのは偶然でもなんでもなかった。
晴れた日はここでよくパーシヴァルが昼寝をしているので、パーシヴァルのそばは通らずーーーでもちゃっかり寝顔を確認しながら噴水横を通過するのが日課だった。
やりすぎるとストーカーになりそうだったので、きちんと頻度も考えているし、パーシヴァル以外の王族も満遍なくチェックしていた。
残りの二人の王族は、パーシヴァルと異なり、周りに取り巻きの生徒がわんさかといる。
ライラは彼らを見ながら、取り巻きHくらいでいいから加えてくれないかなといつも思っている。
「なんか頻度とか気にしている時点でストーカーっぽいわね。」
ーーーとミシェーラに言われて傷ついたのだが、特に行動を変える様子がないライラは反省していないのだろう。
ミシェーラには言われたくない!と反撃したものの、私は隠してないわ!オープンな筋肉好きなのよ!といいーーーどっちもどっちです、と2人で使用人のクーガンを呆れさせていた。
ふと真面目な顔になったミシェーラがライラへと忠告する。
「興味本位でウロウロすると罰せられるかもよ?」
しかしライラは不思議そうな顔になっただけだった。
「黒竜さまを助けるためには王族の方と一緒に行動しなきゃダメなんだよ?真剣だから大丈夫。」
ーーーまあ、顔がいいから見たいっていうのもあるんだけどね!下手な芸能人より美形揃いだし。
ライラの内心のつぶやきは置いておき…ミシェーラは瞳を瞬かせた。
ライラが本気で黒竜を助けたいと思っていることは知っていた。
しかし、すぐに行動に移すというのは正直意外だったのだ。
黒竜といえば、王族へと加護を与えている魔法使いにとっては神にも近い存在。
眠りについたという知らせが国民へと伝えられたとき、恐怖に震えるもの、王族へと嘆願書を書くものーーー多くの人間が、魔法使いが所詮他人事だとしか思っていないことをミシェーラはよく知っていた。
だからこそミシェーラは不思議だった、
魔法使いとしては欠陥品もいいところのライラがどうして黒竜を助けたいなどと考えるようになったのか。
ミシェーラは思わず口に出していた。
すがるような口調になっていたことに彼女は気がついていたのだろうか。
「ライラは黒竜さまを助けられると思うの?」
ライラとミシェーラはしばし見つめあった。
しかし、ライラはこてんと首を傾げた。
顎まである銀色の髪がサラリと流れる。
「私一人じゃあ絶対に無理だよ?魔法使いの才能ないし。」
ハハハと笑うライラ。ミシェーラは少し眉を寄せただけだった。
そんなことないよ、いうのは簡単だが色なしというのは間違い無く大きなハンデなのだ。
ライラはミシェーラの眉間によったシワにふにっと指を押し付けてーーークスリと笑った。
「ーーーでもね、周りにいくら無謀だって言われようが私は言い続けるよ。」
ライラがひどく大人びた顔で笑う。
ミシェーラは少し泣きそうになった。
「どうしてそこまで黒竜さまに尽くそうと思えるの?」
ミシェーラはライラを通じて自分にも問いかけていた。
彼女こそ、人生を黒竜のために捧げている一人なのだがこの時のライラはまだそのことを知らない。
だからこそ、余計なことを何も考えることなくあっけらかんと言い放った。
「だって竜って綺麗じゃない?存在だけで奇跡じゃない?」
ライラはぽかんと口を開けたミシェーラを置いてきぼりにしたままで、とうとうと黒竜の魅力を語り始めた。
大人びた雰囲気は一瞬にして消え去り、金色の瞳は輝き頬は朱色に染まっている。
全身を使って黒竜への愛を語るライラにーーーミシェーラはぷっと吹き出した。
しかし、すぐに真面目な顔になる。その顔が諦めを含んでいることにライラは内心首を傾げる。
「ライラ、黒竜さまを救うことはできないわ。…理由は聞かないで。本当は言ってはいけないの。」
ーーー救うことはできないって…ミシェーラは何か知ってるのかな?というかそこまで言うなら教えてよ!
明らかに内部事情に詳しそうな人間に無理だと言われた。
しかし、考えてみて欲しい。
友人に言われて諦めるような聞き分けの良い人間であれば、色なしにも関わらず魔法学園に入学してきたりしないのだ。
つまり、ライラはふうんとミシェーラの言葉に頷いただけだった。
「誰になら聞いてもいいの?王族の方は教えてくれる?」
ミシェーラは怪訝そうな顔になる。
まさか自分の忠告を聞き流されるとは思わなかったのだろう。
「いやだからね、黒竜さまを救うのは無理でーーー。」
再度聞き分けの悪い幼子に言うような顔になったミシェーラに対しライラはこてんと首を傾げた。
ライラの瞳があまりにも真っ直ぐで、なぜかミシェーラは口をつぐまなければいけないと思った。
「ミシェーラはさ自分の家族や大切な人が『絶対助かりません、理由は言えませんが諦めてください』って説明ではいわかりましたって引き下がれる?」
ミシェーラはなんとも言えない顔になった。
ライラの言いたいことはわかるが、それとこれとは別だと思ったらしい。
しかしライラは止まらなかった。
「家族が一夜にしていなくなったとき、私好き勝手生きるって決めたんだ。たとえミシェーラだろうと私を止めることなんてできないよ?」
重くなった空気をわざと紛らわすように、イタズラっぽく笑ったライラにミシェーラはホッと肩を撫で下ろす。
一つ聞いてもいい?と戸惑いがちにライラを見上げるミシェーラに、ライラはどうしたの?と首を傾げる。
「身体に変わった形のあざってある?翼を広げた竜のような形の。」
「ないよ?」
ミシェーラの残念そうな顔になりながらもならいいのと首を振ったため、不思議そうな顔をしながらもどうすれば王族と知り合いになれるのか再び考え始めるライラ。
その結果がストーカーまがいの行為な点、非常に残念な友人だとミシェーラは呆れていたのだが。
ライラは日課となった王族探しのため、噴水広場横を通り抜けようとしてーーーライラの行先で生徒たちが言い争っていることに気がついた。
「ーーー俺は王位を継ぐ予定もないし、所詮何人かいるスペアの一人だ。ぐーたれててもなんも言われねえ。そんな俺が好き?今日初めてまともに話したようなやつに何がわかるっていうんだよ。」
「ーーーでも、私が話だけでも聞きますから!」
「うざいから消えてってはっきり言わないとわかんない?どっか行ってよ、眠いんだから。」
ーーー「不快である」というのを隠すことのないパーシヴァルに、苛立ちの混ざった視線を向けられたフィメルの生徒は、泣きながら走り去っていった。
ライラは話し声が耳に入った時点で方向転換しようとしたが、逆に不自然かと思ったので、なるべく端っこの方をこそこそと移動していた。
スニーカーを履いていてよかったと思いながら、石畳の上をすり足で歩く。
噴水の広場を抜ける時、ホッとしてチラリとパーシヴァルの方へと視線を向けたのがいけなかったのだろう。
ーーーなぜかライラを見ていたパーシヴァルとバッチリ目があってしまったのだった。
寝そべったまま、くいくいと手招きされーーーライラは全速力で走った。
話の邪魔をしないようになるべく距離をとっていたため、20メートルほどあったのだが、ライラ上最高速度で走った。
パーシヴァルの横まで移動し、サッと膝をつくライラ。
それはどう見ても王族に仕える臣下の態度だった。
「ーーーなにか御用でしょうか?」
「ーーーお前、さっきの会話聞こえてただろ?盗み聞きとはいいご趣味だなあ?」
ダンッと音を立て、ライラの真横にパーシヴァルは杖を突き立てた。
突然の行動にライラは一瞬、ビクッとしたものの、作った笑顔を崩さない。
公共のスペースで公開告白させといて盗み聞き!?
ーーーなどと反論するライラではなかった。
忘れてはいけない。ライラはアイドルに接するファンの気持ちなのである。
「ご不快にさせてしまったのなら申し訳ございません。同じことがないよう、以降、放課後はこの道は通らないようにしますので。」
ーーーパーシヴァルは因縁をつけている自覚があった。話題になっている色なしが目に入ったので、イライラをぶつけようと思っただけなのだ。
それなのに非常に丁寧に、しかも、まともに返されてしまった。
パーシヴァルは面食らったがーーー逆にもっと無理難題を言ってライラを困らせてみようという気になった。
パーシヴァルはなかなかにイイ性格をしているのだ。
「ーーー道を通らなくても俺にはなんの得もないじゃないか。謝るんなら俺のためになるようなことしてみろよ。」
「ーーーはあ、パーシヴァル様のためになることですか。…失礼ながら、お好きな食べ物か飲み物はありますか?今すぐ買ってきますよ。」
「ーーー(こいつまじか、自分からパシリになろうとしてやがる)ココアとカレーパン。」
「ああ、食堂のシェフおすすめのカレーパンですね。今なら空いているし焼き立てで作ってもらえるでしょう。ここにお持ちすればいいですか?」
「ああ、俺は寝てるから買ってこい。」
白銀の頭が校内を全速力で走る姿が目撃され、「虐められている」と生徒の間で噂になるのだが、当の本人は、どこか嬉しそうな表情を浮かべていたのだった。
○
「ーーーーってことがあってさ、王族なのにココアとカレーパンが好きってパーシヴァル様可愛らしすぎない?怒ってお腹すいちゃったのかな?それともーーー」
「注文の内容よりもライラ、あなた嫌がらせされてるんじゃない、それ?」
ミシェーラは差し入れられたレモナリキャンデーを口の中で転がしながら言った。「本当に接触に成功したのね」という呆れと驚きの両方を含んだつぶやきはずっと有頂天なライラには届いていないようだった。
「え、そうかな?パーシヴァル様にならいじめられてもいいなあ。…そういえばまた魔法史学の教科書破かれてたんだよね。ーーーそろそろ監視カメラでも置くかな。」
ミシェーラはパーシヴァルが本気でいやがってこじれ始めたら自分が仲裁に入ってあげようと考えていたところで…ライラが続けた言葉にピクリと固まった。
そして、自分の友人に害をなそうとする存在への怒りをひた隠し、わざとらしくため息をつく。
「はあーーー。まあ、ライラがいいならいいんじゃない?教科書は新しいの用意しておいたわよ。後、監視カメラはつけなくて平気よ。最近目に余るからわたしの方で手を打っておいたわ。」
「ーーーえ?ミシェーラが気にしてくれなくても良かったのに。どうせ親戚のあいつだろうし…あっ、ミシェーラが狙われたらどうするの?」
「ーーーわたしのお父様を知っていて、わたしをいじめようとする生徒なんていないわよ。わたしのナイトに手を出すなんて身の程を弁えるべきよね。」
「わたしのナイトって大袈裟だな。ーーーミシェーラってたまに女王様みたいなこと言うよね。似合うけど。教科書ありがとね。」
「「「「(誰だよ、ビリンガム商会のご令嬢に喧嘩売ったやつ!)」」」」
その後、あれほど起こっていたライラへの嫌がらせがピタリと止み、一人のクラスメイトが転校していったのだがーーーライラはミシェーラにありがとねと言っていつも通り彼女の頭を撫でるのだった。
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